このページでは、産休・育休終了後に「(健康保険・厚生年金保険)標準報酬月額」を引下げ改定した場合の「給与引き落し額変更手続き」について解説しています。
標準報酬月額改定時の社会保険料の給与引き落し額変更手続き
産休・育休終了時報酬月額変更届の提出により、標準報酬月額等級を引下げ改定した場合は、休業終了日の翌日が属する月から数え4か月目の社会保険料から給与支給時に控除する金額を変更する必要があります。
保険料の給与引き落し処理基準の確認
社会保険料の給与引き落し処理は、会社によって当月扱い処理の場合と翌月扱い処理の場合が混在します。
まず、自社がいずれの処理基準に該当するか確認する必要があります。
保険料引き落し当月扱い処理の会社
例えば、3月分の社会保険料を3月に支給日が到来する給与から引き落としている会社は当月扱い処理の会社となります。
新入社員が入社した際、入社した月の社会保険料を入社月に支給日が到来する給与から引き落とし開始している会社等が該当します。
(給与締切日と給与支払日が同一月内にある会社等で見受けられます)
保険料引き落し翌月扱い処理の会社
例えば、3月分の社会保険料を4月に支給日が到来する給与から引き落としている会社が翌月扱い処理の会社となります。
新入社員が入社した際、入社した月の社会保険料を入社翌月に支給日が到来する給与から引き落とし開始している会社等が該当します。
(こちらが一般的であり、ほとんどの会社が該当します)
社会保険料控除額の変更を開始する月の確認
以下の例のように、控除額の変更を開始する月を判断します。
(ケース①)
産休(育休)終了日が9月1日~9月29日のいずれかの場合
9・10・11月に支給日が到来した給与を算定基礎として、標準報酬月額の改定を行い、12月分の保険料から控除額を引き下げします。
保険料引き落し当月扱い処理の会社の場合
12月中に支給日が到来する給与から保険料控除額を変更します。
(翌年1月末納期限の12月分社会保険料支払時から引き下げします)
保険料引き落し翌月扱い処理の会社の場合
翌年の1月に支給日が到来する給与から保険料控除額を変更します。
(同1月末納期限の12月分社会保険料支払時から引き下げします)
(ケース②)
産休(育休)終了日が9月30日(月末日)の場合
10・11・12月に支給日が到来した給与を算定基礎として、標準報酬月額の改定を行い、1月分の保険料から控除額を引き下げします。
保険料引き落し当月扱い処理の会社の場合
翌年1月に支給日が到来する給与から保険料控除額を変更します。
(翌年2月末納期限の1月分社会保険料支払時から引き下げします)
保険料引き落し翌月扱い処理の会社の場合
翌年2月に支給日が到来する給与から保険料控除額を変更します。
(同2月末納期限の1月分社会保険料支払時から引き下げします)
(ケース③)
産休(育休)終了日が9月29日で9月30日(月末日)が会社休日の場合
上記の場合、実際の職場復帰日は10月となりますが、休業終了日の翌日は9月30日となるため、9・10・11月に支給日が到来した給与を算定基礎として、標準報酬月額の改定を行い、12月分の保険料から控除額を引き下げします。
保険料引き落し当月扱い処理の会社の場合
12月中に支給日が到来する給与から保険料控除額を変更します。
(翌年1月末納期限の12月分社会保険料支払時から引き下げします)
保険料引き落し翌月扱い処理の会社の場合
翌年の1月に支給日が到来する給与から保険料控除額を変更します。
(同1月末納期限の12月分社会保険料支払時から引き下げします)
(ケース④)
産休(育休)終了日が9月27日で9月30日(月末日)まで欠勤する場合
上記の場合も10月の職場復帰となりますが、休業終了日翌日は9月28日となるため、9・10・11月に支給日が到来した給与を算定基礎として、標準報酬月額の改定を行い、12月分の保険料から控除額を引き下げします。
なお、保険料の控除は、ケース③と同様の手続きとなります。
引下げ改定が受理されるまでの間の社会保険料納入額について
本来引下げ改定が行われるべき月の社会保険料について、改定の申請が受理される前に、日本年金機構から改定前金額のまま保険料納入告知が行われてしまうことがあります。
この場合、改定前の金額で保険料を納入することとなりますが、その翌月以降に告知される保険料から、引下げ改定された分がまとめて減額調整されます。
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