■このページでは、両立支援等助成金〔出生時両立支援コース(第2種)〕の支給要件について解説しています。
◆この情報は令和6年12月17日改定後〔令和6年12月17日~令和7年3月31日まで〕の助成内容に基づきます。
~なお、現時点では令和7年4月1日以降も引き続き同内容の助成が行われる見通しとなっています。
◆育休関連コースの助成金については、原則、以下にあてはまる中小企業事業主のみが申請を行うことができます。
小売業(飲食業を含む) | 資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が 50人以下の事業 |
---|---|
サービス業 | 資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業 |
卸売業 | 資本金又は出資額が 1億円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業 |
その他 | 資本金又は出資額が 3億円以下、または常時雇用する労働者数が 300人以下の事業 |
なお、上記いずれかの基準を満たす中小企業事業主であっても、労働関係法令に違反する等、別途定める不支給要件にあてはまる場合は申請することができませんのでご注意下さい。(詳細については以下の記事をご参照下さい)
出生時両立支援コース(第2種)の制度概要
この助成金は、出生時両立支援コース(第1種)を申請した事業年度以外において・・・
一定程度以上、男性労働者の「育休取得率向上」もしくは「育休取得率維持」
を実現した事業主が、1回に限り申請することができます。
第1種受給済の事業主でなくても申請が可能に
今までこの制度は、出生時両立支援コース(第1種)を受給した事業主のみ申請することができましたが、令和6年12月17日施行の制度改定により、第1種を受給した事業主でなくとも申請することが可能となりました。
第1種と第2種を切り分けて運用するルールが新設
ただし、同一事業年度(申請事業主の会計年度)中に第1種と第2種の両方を申請することはできず、片方のみ申請できることとなっています。
また、第1種の申請対象となる出産及び育児休業は、第2種申請時の育休取得率算定に含めてはならないこととなりましたので、こちらについても注意しておく必要があります。
上記以外にも、制度内容について大幅な簡素化が図られています。
なお、出生時両立支援コース(第1種)についてお調べになりたい方は以下の記事をご参照下さい。
支給基準および助成金額
この助成金は、パパ育休取得率の「向上」もしくは「維持」を達成した事業主が、いずれか1回に限り申請することができます。
具体的な支給要件および助成金額は以下のとおりとなっています。
男性労働者の育休取得率「向上」を助成対象とするもの
「前年度」と比較して、男性労働者の育休取得率が30%以上アップし、かつ50%以上の水準となっている事業主に対し・・・
60万円
が、支給されます。
申請期間は「上記の基準を満たした事業年度」の「翌事業年度の開始日」から起算して6か月以内となります。
上記に加えて・・・
プラチナくるみん認定事業主(*)に対しては、さらに15万円
が加算されます。
(*)申請日より前に認定されている場合に限ります
なお、事業年度とは、各事業主毎の会計年度(決算年度)のことを指します。(以下同じ)
男性労働者の育休取得率「維持」を助成対象とするもの
支給申請日の属する事業年度の前々事業年度において・・・
配偶者が出産した男性労働者数(*)が5人未満であり
(*)雇用保険へ加入している労働者に限ります
かつ、支給申請日の属する事業年度の直前の2事業年度における
男性労働者の育休取得率がいずれも70%以上であること
の両方を満たしていれば・・・
男性労働者の育休取得率が30%以上アップしていなくても
60万円
が支給されます。
こちらも、申請期間は「上記の基準を満たした事業年度」の「翌事業年度の開始日」から起算して6か月以内となります。
また、
プラチナくるみん認定事業主(*)に対しては、さらに15万円
が加算されます。
(*)申請日より前に認定されている場合に限ります
育休取得率以外に満たしていなければならない支給要件
雇用環境整備措置の実施
この助成金を申請するためには、以下の中から2つ以上の措置を実施していなければなりません。
また、これらの措置は、育休取得率算定の対象とした男性労働者いずれかの育休開始日前日までに行われたものでなければなりません。
① 従業員に向けた育休に関する研修の実施
② 育休に関する相談体制の整備
③ 従業員の育休取得事例収集および社内情報の共有
④ 育休取得を促進することに関する方針の社内周知
⑤ 育休取得円滑化のための「業務配分」又は「人員配置」に必要となる措置の実施
なお、出生時育休の申出期限を休業開始日2週間前を超えて設定する事業主(*)については、3つ以上措置を実施している必要があります。
(*)
法定内容を一定程度上回る「出生時育休制度」を個別に労使協定で定める会社に対しては、当該申出期限を2週間前までではなく、1カ月前までの期間で定めることができる特例が適用されます。
■支給申請時には、以下のとおり整備措置を「実施した事実」と「実施日」を確認できる証拠書類を提出しなければなりません
【措置内容に応じた証拠書類の例】
① 従業員に向けた育休に関する研修の実施
→研修の開催案内、研修の実施要領等
② 育休に関する相談体制の整備
→相談窓口の設置に関する案内、周知資料等
③ 従業員の育休取得事例収集および社内情報の共有
→事例を掲載した書類等
④ 育休取得を促進することに関する方針の社内周知
→周知資料(メール送信・回覧の場合は全労働者に送信・回覧したことが確認できるもの)等
⑤ 育休取得円滑化のための「業務配分」又は「人員配置」に必要となる措置の実施
→育休取得者の業務を代替する労働者等の業務リスト(業務の見直し・休止状況が分かるもの)、業務マニュアル(代替業務を効率化するために作成したもの)等
育休取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等の策定
上記、雇用環境整備措置に加え、育休期間中の業務を代替する労働者の負担を軽減するため、労使合意に基づき「業務代替者の業務見直し」に係る規定等を策定し、当該規定等に基づき業務体制を整備できるようにしておかなければなりません。
なお、この規定は「申請基準となる育休取得率を満たした事業年度」における「男性労働者いずれかの育休開始日前日」までに策定されたものでなければなりません。
■なお、上記の規定等については・・・
- 育休復帰支援プラン
- 就業規則(育児休業規程等に定めてもよい)
- 労使協定
のいずれかに、規定等しておく必要があります。
■規定等しておくべき内容は・・・
- 育休取得者の業務の整理・引継ぎに関する事項
- 引継ぎ対象業務の見直しの検討に関する事項
の2点となります。
「育児休業」「育児短時間勤務」の規定を含む就業規則等の制定と社内周知
■助成対象事業主については、最低限、以下の事項を就業規則(あるいは労働協約・育児介護休業規程)等に定めていなければなりません
A)「育児休業制度」について
B)「育児のための所定労働時間短縮措置」について
「規則の内容は育児・介護休業法に定める通りとする」といったような「委任規定」を就業規則に定めているだけの場合は、助成対象となりません
常時雇用する従業員数が10人未満で就業規則の作成・届出が義務付けられていない会社の場合は、上記A)およびB)が明文化された「育児休業等に関する規程等」就業規則に準ずるものが労働者に周知されていることが必要です
A)およびB)については助成金支給申請の際、規定した年月日を報告する必要があります
■「育児・介護休業法」に規定する育児休業以外の育児休業について運用している場合は、必ず就業規則等にも規定がなければなりません
法律を上回る制度を運用している場合であっても、就業規則等に規定がなければ、助成対象として評価されません
■出生時育児休業の申出期限を休業開始日2週間前を超えて設定している事業主は、労使協定添付が必要です
「出生時育児休業(産後パパ育休)」制度の申出期限を、法定期限である2週間より前に設定している事業主については、当該根拠となる労使協定の添付が必要となります。
(法定内容を一定程度上回る「出生時育児休業制度」を個別に労使協定で定める会社のみに対し、当該申出期限を2週間前までではなく、1カ月前までの期間で定めることができる特例が適用されることとなるため)
■ 助成金申請時までには、最新の「育児・介護休業法」を反映した規則に改定しておかなければなりません
「次世代育成支援対策推進法」に基づく「一般事業主行動計画」の策定と所轄労働局への届出
■休業開始日までに間に合わない場合は、助成金の支給申請日までに、策定・届出・公表及び周知まで終了していなければなりません
(「プラチナくるみん認定」を受けている事業主は、策定・届出ともに不要です)
支給申請時には事業年度ごとの育休取得者リストを作成し提出する
申請時には、事業年度ごとに以下の情報を網羅したリストを作成し提出します。(事業主が任意の様式で作成したもので構いません)
育休を取得した男性労働者の・・・
- 氏名
- 雇用保険被保険者番号
- 育児休業の取得期間
- 休業対象となる子の出生日
配偶者等が出産した男性労働者の・・・
- 氏名
- 雇用保険被保険者番号
- 子の出生日
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