【最大410万円!】東京しごと財団 働くパパママ育業応援奨励金の概要について解説!

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この記事では、本店・支店等、いずれかの事業場を東京都内に有している事業主が申請できる、東京しごと財団 働くパパママ育業応援奨励金の概要について解説しています。

■この記事は、東京しごと財団が発表している令和6年度(令和6年4月1日~令和7年3月31日)に申請する場合の制度内容について解説しています。

はじめに

東京都内に本社のある労務担当者の方々は既にご存じのことかと思いますが、都内事業場に勤務の従業員に対し、育業(東京都では、育児休業に対して育業の愛称を使用しています)を取得させた事業主は、一定要件充足後の申請を前提に、手厚い奨励金を受給できる可能性があります。

この場合の事業主は、必ずしも都内に本社を構えている必要はありません。

東京以外の道府県内に本社を有している事業主であっても、支店や営業所が都内にあり、かつ、当該事業場に勤務する従業員へ育休(以下育業)をさせた場合は、この奨励金を申請できる可能性があります。

ただし、申請対象となる事業主は、もっとパパコース(複数の男性従業員が各々30日以上育業した場合に申請できるコース)を除き、常時雇用者数300名以下でなければなりません。

この奨励金、何といっても金額が非常に大きいのが特徴です。

パパ育業を支援するコースでは最大410万円、ママ育業では最大165万円もの奨励金額が設定されています。

また、この奨励金は・・・

厚生労働省による両立支援等助成金と並行して同一の育児休業(育業)について申請することも可能

となっておりますので、両制度の支給要件を満たしているのであれば、申請できる合計額は極めて大きなものとなります。

ここまでの説明で要件該当の可能性がある事業主の方もしくは労務担当者の方は、ぜひともこの記事を覗いてみていただければと思います。

奨励金は全部で4種類

東京しごと財団 働くパパママ育業応援奨励金には・・・

  • 働くパパコースNEXT
  • 働くママコースNEXT
  • パパと協力!ママコース
  • もっとパパコース

4種類のコースが設けられています。

それでは、各コースの概要を1つずつ見ていきましょう。

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各コースの概要と支給額

各コースの制度概要と奨励金額は以下のとおりとなっています。

この制度、何といっても奨励金額が極めて大きいのが特徴となっています。

働くパパコースNEXT

男性従業員が、「子の出生日」以後「2歳誕生日の前日」までの間に「同一の子」について「15日以上の育業(複数回の合算も可)」を取得済であり、かつ、原職復帰後3か月間が経過している場合に申請することができます。(常時雇用者数300名以下の事業主に限ります)

ただし、育業期間中の就労日または有給の育業日等については、上記の15日に含めることはできません。

奨励金額は、育業の合計取得日数に応じて、以下のとおり「15日以上30日未満:25万円」~「180日以上:330万円」の12段階で設定されており、さらに4項目の加算要件について1項目を充足する毎に20万円、最大80万円が加算されます。

育業日数に応じた奨励金額

働くパパコースNEXT:育業日数に応じた奨励金申請可能額 一覧表

加算要件①:管理職の育業と社内周知

課長、部長等の指揮命令権を有する役職に就く男性(役員・代表者も含む)従業員等が育業し、その育業経験を記した情報を職場内に情報発信することで育業しやすい環境づくりに取組んだ場合に加算対象となります。

なお、情報発信の対象となる育業は、令和4年4月1日以降に取得した合計15日以上のものであればよく、この奨励金の申請対象となる育業である必要はありません。

加算申請書へ必要事項を記載のうえ、実際に社内周知した資料を添付して申請を行います。

加算要件②:パパ向け育業マニュアルの作成と育業メンター制度の整備

最新の育児介護休業法や育業準備の方法、休業中の給与等について書かれたパパ向け育業推進マニュアルを会社独自に作成し、かつ育業メンター制度を整備した場合に加算対象となります。

育業推進マニュアルは、令和6年4月1日以降、申請日までの間に作成されており、作成日が確認できるものでなければなりません。

加算申請書へ育業メンター制度整備についてメンターの選定理由等、必要事項を記載のうえ、作成済の育業推進マニュアルを添付して申請を行います。

なお、育業メンター制度について、就業規則等へ規定することまでは要件とされていません。

加算要件③:同僚への応援評価制度導入と表彰制度の整備

育業中の業務代替者等、育業を支える周囲の同僚従業員を評価するための応援評価制度導入および表彰制度整備両方へ取り組んだ場合に加算対象となります。(応援評価制度と表彰制度の対象者は、奨励金申請対象者の同僚でなくても構いません)

応援評価制度は、令和4年4月1日以降、申請日までの間に導入後、実際に運用されていることが必要ですが、評価対象者が発生していなくても申請することができます。(応援評価制度について就業規則等へ規定することまでは要件とされていません)

表彰制度は、令和6年4月1日以降、申請日までの間に、新たに就業規則等へ整備(規則以外の社内周知のみでも可)されたことが必要です。(令和6年3月31日以前に整備済であった場合は加算対象となりませんのでご注意下さい)

加算申請書へ応援評価制度の導入および運用状況について必要事項を記載(応援評価制度については規則等の添付は不要です)のうえ、表彰制度について定めた就業規則(労基署届出済のもの)または社内周知資料(周知日が明記されたもの)のいずれかを添付して申請を行います。

加算要件④:同僚への応援手当支給

合計30日以上の育業を取得した従業員の業務を代替し、育業取得者を支えた同僚従業員に対して、合計20万円以上(複数名分の合計も可)の応援手当を支給した場合に加算対象となります。

対象となる同僚従業員は、育業取得者と同部署(係・課・部など)の従業員(複数名も可)であり、応援手当は当該同僚個人毎に支給されていなければなりません。(対象となる育業開始日から申請日までの間に支給されたものに限ります)

加算申請書へ必要事項を記載のうえ、応援手当の支払い事実が確認できる賃金台帳等を添付して申請を行います。

上記全てを満たした場合、加算申請額各20万円×4項目=80万円とあわせ、最大奨励額は410万円にまで及び、極めて大きな金額となります。

ただし、申請は1事業者1回までとなっており、過去に「パパコース」および「もっとパパコース(*)」を受給したことのある事業主は申請することができません。

(*)
令和5年度実施の「もっとパパコース」受給済事業主のうち従業員数300名以下の事業主に限り、令和6年度は特例として申請可とされています

なお、このコースを申請するためには、以下の育児・介護休業法に基づく「継続的に育業しやすい職場環境整備事項」の中から1つ以上を実施済でなければなりませんので注意が必要です。

継続的に育業しやすい職場環境整備事項

  • 育休(以下、出生時育休〔産後パパ育休〕を含む)に関する研修の実施
  • 育休に関する相談窓口の設置
  • 従業員の育休取得事例の収集、提供
  • 従業員へ対する「育休制度内容」と「育休取得促進に関する方針」の周知

働くママコースNEXT

女性従業員が、「子の出生日」の翌日以後「2歳誕生日の前日」までの間に「同一の子」について「364日以上の育業(複数回の合算も可)」を取得済であり、かつ、原職復帰後3か月間が経過している場合に申請することができます。(常時雇用者数300名以下の事業主に限ります)

なお、産後休業から引き続き育業している場合は、産後休業日数も含めて364日以上を判定します。

ただし、育業期間中の就労日または有給の育業日等については、上記の364日に含めることはできません。

奨励金額は125万円となっており、さらに2項目の加算要件について1項目を充足する毎に20万円、最大40万円が加算されます。

加算要件①:同僚への応援評価制度導入と表彰制度の整備

育業中の業務代替者等、育業を支える周囲の同僚従業員を評価するための応援評価制度導入および表彰制度整備両方へ取り組んだ場合に加算対象となります。(応援評価制度と表彰制度の対象者は、奨励金申請対象者の同僚でなくても構いません)

応援評価制度は、令和4年4月1日以降、申請日までの間に導入後、実際に運用されていることが必要ですが、評価対象者が発生していなくても申請することができます。(応援評価制度について就業規則等へ規定することまでは要件とされていません)

表彰制度は、令和6年4月1日以降、申請日までの間に、新たに就業規則等へ整備(規則以外の社内周知のみでも可)されたことが必要です。(令和6年3月31日以前に整備済であった場合は加算対象となりませんのでご注意下さい)

加算申請書へ応援評価制度の導入および運用状況について必要事項を記載(応援評価制度については規則等の添付は不要です)のうえ、表彰制度について定めた就業規則(労基署届出済のもの)または社内周知資料(周知日が明記されたもの)のいずれかを添付して申請を行います。

加算要件②:同僚への応援手当支給

申請対象となる育業期間中の業務を代替し、育業取得者を支えた同僚従業員に対して、合計20万円以上(複数名分の合計も可)の応援手当を支給した場合に加算対象となります。

対象となる同僚従業員は、育業取得者と同部署(係・課・部など)の従業員(複数名も可)であり、応援手当は当該同僚個人毎に支給されていなければなりません。(対象となる育業開始日から申請日までの間に支給されたものに限ります)

加算申請書へ必要事項を記載のうえ、応援手当の支払い事実が確認できる賃金台帳等を添付して申請を行います。

上記全てを満たした場合、加算申請額各20万円×2項目=40万円とあわせた最大奨励額は165万円となります。

ただし、申請は1事業者1回までとなっており、過去に「ママコース」および「ママコースNEXT」を受給したことのある事業主は申請することができません。

また、同一従業員における同一の子に係る育業について「パパと協力ママコース」を受給したことのある事業主も申請することはできません。

なお、このコースを申請するためには、以下3点の取組を実施済でなければなりませんので注意が必要です。

①休業期間中の職場情報提供

申請対象となる育業取得者が休業中(産前休業期間は除く)の社内状況を把握できるよう、「社内の状況」「引継ぎ業務の遂行状況」などを定期的(概ね3~4か月に1回くらい)に提供します。

申請書の所定欄に「情報提供年月日」「情報提供を行った者の所属・氏名」「情報提供内容」を記載する必要があります。(記載欄は3回分あります)

②職場復帰前面談の実施

申請対象となる育業取得者が職場(原職)へ復帰するまでの休業期間中に、直接会話による面談(オンラインWeb会議システム利用も可)を1回以上行い、「復帰後に必要となる仕事と育児の両立に関する情報」などを提供します。

面談者は上司または人事労務担当者が行うこととなっています。

申請書の所定欄に「面談年月日」」「面談を担当した者の所属・氏名」「面談担当者から伝えたこと」「育業取得者から聞き取ったこと」を記載する必要があります。

③育児介護休業法を上回る取組の就業規則等への規定

令和6年4月1日以降において、以下の内いずれか1つ以上について就業規則等(育児介護休業規程を含む)に規定していなければなりません。

なお、以下については、令和6年4月1日より前からすでに運用していた規定を含めることはできません。

あくまでも令和6年4月1日以降に以下の内から1つ以上について新たな規定を行っていなければなりませんのでご注意下さい。

育児休業期間の延長
(育児介護休業法に定める理由にかかわらず、1歳を超える育休取得を可とするもの)

育児休業延長期間の延長
(保育所に入所できなかった等の理由により延長できる育休期間を2歳超へさらに延長するもの)

有給の子の看護休暇の導入
(子の看護休暇を無給から有給にするもの)

子の看護休暇取得日数の上乗せ
(養育児1人あたり5日、2人以上10日について、1人あたり6日以上、2人以上の場合11日以上に上乗せするもの)

中抜けあり時間単位の子の看護休暇導入
(始業時刻もしくは終業時刻と連続しない中抜けによる子の看護休暇取得を新たに可とするもの)

育児短時間勤務制度の利用年数延長
(育児短時間勤務制度を新たに3歳を超えて利用できるようにするもの)

パパと協力!ママコース

まず、このコースを申請するためには、対象となる女性従業員の育業に係る子の父親も、申請時点で30日以上の育業を「取得済」か「取得中」あるいは「取得予定」でなければなりません。(申請事業主は常時雇用者数300名以下に限りますが、子の父親の勤務先について要件は一切ありません)

その上で、対象となる女性従業員が、「子の出生日」の翌日以後「2歳誕生日の前日」までの間に「同一の子」について、子の父と協力しながら「180日以上364日未満の育業(複数回の合算も可)」を取得済であり、原職復帰後3か月間が経過し、かつ「育業促進等に関する取組計画」を作成である場合に申請することができます。

なお、産後休業から引き続き育業している場合は、産後休業日数も含めて180日以上364日未満の日数を判定します。

ただし、育業期間中の就労日または有給の育業日等については、上記の日数に含めることはできません。

この奨励金の金額は100万円となっています。

申請は1事業者1回までとなっており、過去に「パパと協力ママコース」を受給したことのある事業主は申請することはできません。

また、同一従業員における同一の子に係る育業について、過去に「ママコース」もしくは「ママコースNEXT」を受給したことのある事業主も申請することはできません。

同一の子に係る育業を「パパと協力ママコース」の申請対象となる育業終了後に再取得したとしても「ママコースNEXT」を申請することはできません。

なお、このコースを申請するためには、以下3点の要件を満たしていなければなりませんので注意が必要です。

①子の父親も出生日以降合計30日以上、育業(予定でも可)していること

冒頭でも述べましたとおり、このコースを申請するためには、対象となる女性従業員の育業に係る子の父親も、申請時点で30日以上の育業を「取得済」「取得中」あるいは「取得予定」でなければなりません。

②対象従業員に「東京都からのお知らせ」を案内すること

このコースの申請対象となる女性従業員に対し、その育業に係る子の父親へ「東京都からのお知らせ」を渡してもらうよう周知済であることが申請要件とされています。(周知方法は手渡し・口頭・メール等どのような形でも構いません)

この「東京都からのお知らせ」は、都内企業が男性育業を促進する上で有効活用できる東京都の施策(専門家派遣・奨励金・推進企業への登録マーク付与等)について案内されているもので、申請対象となる女性従業員 → パートナーである父親 → 父親の勤務先 へと周知されることを目的として要件化されています。

③育業促進等に関する取組計画を作成したこと

この取組計画は「育業計画書 兼 面談記録」と「育業促進等に関する取組計画」の2部構成となっています。


まず、上司または人事労務担当者が育業取得者である女性従業員との間で直接対話による面談(オンラインWeb会議システム利用も可)を行い、以下の項目をヒヤリングします。(面談は子の出生から申請日までの間であればいつ行ったものでも構いません)

  • パパママの間で両名の育業スケジュール決定にあたり打合せした内容
  • パパママの間で育児の役割分担について話し合った内容
  • 育児をしていく上での不安要素
  • 今後のキャリア(働き方)についての希望

上記ヒヤリング内容と共に、面談者が伝えたことを入力した所定書式「育業計画書 兼 面談記録」をプリントアウトします。
その上で、育業取得者である女性従業員に直筆で「パパの育業(予定)期間」「パパの氏名」欄へ記載してもらい、最後に確認として「本人氏名」欄へ署名を受入れしなければなりません。


次に、事業主側の報告書として・・・

  • 育業取得者の離職率(現状と今後の目標設定)
  • 設定した目標を達成する上での課題
  • 課題解決のための取組計画

の3点を男女従業員別に取りまとめ、「育業促進等に関する取組計画」を作成します。

以上を添付し申請を行うこととなります。

もっとパパコース

このコースは、他のコースとは異なり、常時雇用労働者数300名を超える規模の大きな事業主であっても申請することができます。

複数の男性従業員が「子の出生日」の翌日以後「2歳誕生日の前日」までの間に「同一の子」について、それぞれ「合計30日以上」育業を取得済であり、かつ、原職復帰後3か月間が経過している場合に申請することができます。

ただし、育業期間中の就労日または有給の育業日等については、上記の30日に含めることはできません。

なお、ここでいう複数の男性従業員のうち、最低1人は、令和6年4月1日以降に申請要件を満たした者でなければなりません。

それ以外の男性従業員については、令和4年4月1日以降に育業を開始し、上記要件を満たした者であれば「複数」人のうちの1人としてカウントすることができます。

対象従業員は最大5人までカウントでき、当該人数に応じて奨励金額は80万円~最大170万円となっています。

申請対象となる男性従業員数に応じた奨励金額

もっとパパコース:対象従業員数に対する奨励金額の一覧表

申請は1事業者1回までとなっており、過去に「もっとパパコース」を受給したことのある事業主は申請できません。

また、令和6年4月1日以降同一従業員における同一の子に係る育業について、「パパコースNEXT」を受給したことのある事業主も申請することはできません。

令和6年3月31日までの間に「パパコース」を受給したことのある事業主は申請対象に含むことができますが、この場合、すでに当該奨励金の受給対象となった男性従業員については、申請対象となる従業員数のカウントに含めることはできません。

なお、このコースを申請するためには、以下2点の要件を満たしていなければなりませんので注意が必要です。

①継続的に育業しやすい職場環境整備を複数実施すること(令和6年4月1日以降に実施すること)

このコースを申請するためには、以下の育児・介護休業法に基づく「継続的に育業しやすい職場環境整備事項」の中から複数令和6年4月1日以降実施済でなければなりません。

  • 育休、出生時育休〔産後パパ育休〕に関する研修の実施
  • 育休、出生時育休〔産後パパ育休〕に関する相談窓口の設置
  • 従業員の育休出生時育休〔産後パパ育休〕取得事例の収集、提供
  • 従業員へ対する「育休、産後パパ育休制度内容」と「育休取得促進に関する方針」の周知

②過去2年度において30日以上の育業率が50%未満であること(1000人以上事業主の申請に限る)

この要件は、常時雇用従業員数が1000人以上の事業主についてのみ適用されます。

令和6年3月31日までの過去2年間において、「配偶者等が出産した男性従業員数」に対する「子の2歳誕生日の前日までに合計30日以上の育業を取得した男性従業員数」の割合(=育業率)がすでに50%以上となっている場合は申請対象となりませんのでご注意下さい。

申請事業主が満たしていなければならない要件

さて、ここからは、この奨励金を申請できる事業主の要件について、より詳しく見ていきましょう。

常時雇用する従業員数は300人以下か?(もっとパパコースを除く)

もっとパパコースを除く奨励金は、全て「常時雇用する従業員数」が300人以下の事業主でなければ申請できません。

なお、「常時雇用する従業員数」とは・・・

  • 無期雇用者
  • すでに1年を超えて継続雇用されている者(日雇いも含む)
  • 1年を超える雇用契約を締結済の者

の全てを指します。

なお、上記のカウントに派遣労働者数は含めません。

ちなみに、この奨励金には、従業員数以外に資本金額等の基準は設定されておりません。

従業員数10名未満でも就業規則作成と労基署への届出が必要

この奨励金を申請する事業主は、従業員数が10名以上か未満かにかかわらず、必ず、育児休業に関する規定を含む就業規則(本則の他に別冊規定がある場合は当該規定)を作成済であり、かつ所轄労働基準監督署への届出まで行っている事業主でなければなりません。

過去5年間に重大な法令違反等がないか?

過去5年間において・・・

  • 刑事罰・営業停止処分
  • 労働基準監督署による送検
  • 消費者庁からの措置命令

など、上記同等以上の法令違反による罰則適用を受けた事業主はこの奨励金を受給することはできません。

労働関係法令を遵守できているか?

最低限・・・

  • 最低賃金
  • 割増賃金(固定残業代の運用を含む)
  • 時間外労働(36協定の運用を含む)
  • 年次有給休暇の年5日取得義務励行
  • セクシュアルハラスメント等防止措置義務の励行

について遵守している事業主でなければ、この奨励金を受給することはできません。

東京都内の事業場に6か月以上、最低2名の従業員を常時雇用しているか?

この奨励金は、あくまでも東京都内に事業場を有する事業主を支援するものとなっています。

そのため・・・

東京都内の事業場に勤務する常時雇用の従業員を2名以上かつ6か月以上継続雇用している

事業主のみが申請対象となります。

この要件については、該当する2名分の「雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)」写しを提出することにより確認が行われます。

ちなみに、申請要件に該当する従業員の中に、東京都内のハローワークで雇用保険被保険者として登録済の者がいない場合であっても、直ちに申請要件から外れることはありません。

この場合は、別途、都内の事業場に勤務していることが確認できるエビデンスを提出する等、審査サイドの指示に従い対応することとなります。

なお、本社が都内にない事業主の場合は、事業場の営業が都内で実質的に行われていることを証明するため、水道光熱費の支払い明細や事務所賃貸契約書等をエビデンスとして追加で提出する必要があります。

また、当該事業場について都税を納税していなければなりません。

他に充足していなければならない要件

他にも以下の要件を充足していない場合は奨励金の申請ができませんのでご注意下さい。


特定の法人等(主たる目的が「特定構成員の福利厚生」もしくは「同窓会等の開催」等である特定非営利活動法人、東京都関連の法人・・等)に該当していないか?


個人事業主の場合は、都内の税務署へ開業届を提出しているか?


同一代表者が経営する別の会社で同一コースの奨励金を受給済でないか?(受給済の会社を吸収合併した場合も含む)


直近年度の都税に未納がないことが確認できる納税証明書を提出できるか?


風俗営業を行っていないか?(パチンコホールを経営する事業主も対象外となります)


暴力団等とのかかわりはないか?

育業取得者が満たしていなければならない要件

次に、この奨励金の申請対象となる育業取得者が充足していなければならない要件について見ていきましょう。

育業取得者については・・・


育業開始前まで6か月以上雇用保険被保険者として継続雇用されており、奨励金の支払完了時までその状況が継続していること


育業開始1か月前(*)の時点で都内の事業所に所属、勤務しており、奨励金の支払完了時までその状況が継続すると見込まれること

(*)産休から引き続き育業する場合は、産前休業開始1か月前


申請企業等の代表者(共同代表も含む)の三親等内の親族でないこと


育業に引き続き原職(原則、休業前と同一事業所の同一部署)に復帰し、職制上の地位・給与・労働時間等の雇用契約内容が(育児短時間勤務制度等、就業規則に規定のある制度利用に基づく場合を除き)育業前から変更され下回っていないこと


育業後、在宅勤務により職場復帰する場合には、在宅勤務に関する規定が整備されていること


育業から職場復帰後3か月間(法定休日や所定休日以外に欠勤等で休業した日は含めず算定)が経過していること

が、申請要件として求められます。

申請準備に取りかかる前に、必ず上記要件を満たしているか?確認しておきましょう。

奨励金の運用は年度単位で行われている点に注意

この奨励金制度は、当年4月1日~翌年3月31日までの年度単位によって運用されています。

よって、当年度内において、次年度である翌年4月以降も引き続き制度が継続して運用されるか否か?は次年度の制度発表がなされるまでの間は未定ということになります。

奨励金の支給金額が予算に達した場合は、年度内であっても打ち切りとなり、申請できなくなる可能性があります。

制度上は予算に達した時点で、申請の受理を停止することとなっています。

申請のタイミングは、申請対象となる従業員の育業スケジュールにより決定されますので、この点については申請を行う側の努力で回避することはできません。

また、この奨励金制度は、申請期限が同年度内に該当する場合でなければ、当該年度分の制度については申請することができない仕組みになっています。

奨励金の申請期限は、育業取得者の職場復帰後、3か月間の継続勤務を確認できたのち、2か月以内(*)に申請することとされていますが、年度末である3月31日より遡った前年12月30日以前に職場復帰していないと、他の全ての支給要件を充足していたとしても同年度の制度内容による申請を行うことはできません。

(*)期限日が土日祝日・年末年始となる場合は、その直前の日が申請期限となります

よって、合計364日以上の育業取得を前提とした制度である「働くママコースNEXT」等については、育業取得開始前の段階では当年度の制度内容に沿って申請準備は行うものの、育業取得者の職場復帰タイミングは次年度以降となるため、同年度の制度内容による申請はできないこととなります。

なお、過去の前例では、上記のスケジュールにあてはまらなかった場合も、次年度の制度により申請することが可能とされてきましたが、この点については次年度の制度が確定しない限りは未定という他はありません。

厚生労働省 両立支援等助成金との併給も可能!

冒頭でも申し上げましたとおり、この奨励金は、厚生労働省による両立支援等助成金と同一の育児休業(育業)について申請することも可能となっております。

よって、両制度の支給要件を満たしているのであれば、申請できる合計額は極めて大きなものとなります。

なお、両立支援等助成金については、以下の記事に詳しい解説がございます。

ぜひこちらもあわせてご参照下さい。

おわりに

以上が、東京しごと財団 働くパパママ育業応援奨励金の制度概要となりますが、募集要項には、上記以外にもより詳細な支給要件が定められております。

以下に、東京しごと財団ホームページへのリンクを貼らせていただきます。

実際に申請準備を行う際には、ご確認のうえご対応いただきますようお願い致します。

【東京しごと財団ホームページ(リンク)】

働くパパママ育業応援奨励金

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