【社長のための】育休助成金(両立支援等助成金) 活用術!

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■この記事では、従業員の育休取得をバックアップする中小企業事業主の方々に向けて、両立支援等助成金の活用方法および申請準備を行う際のコツ(ポイント)について解説しています。

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はじめに

令和4年4月1日より、本人又配偶者の妊娠・出産等について従業員から申出を受けた事業主には、育休取得の意向確認をすべきことが義務付けられました。

この義務は、企業規模の大小を問わず、全ての事業主に課されることとなりました。

つまり・・・

少子化対策待ったなしの現状において、仕事と育児の両立を支援することが、中小零細事業主にも例外なく求められるようになった

ということです。

このことは、事業主の方々にとって、人材確保を進めていく観点からも、今後より一層、重要性を帯びて来ることでしょう。

一方、このような情勢のなかで、厚生労働省サイドも中小零細企業がハードルを越えやすいよう・・・

従来より運営してきた育休関連助成金の制度をより充実させ、資金面でのバックアップ体制を強化

してきています。

これらの助成金制度をうまく活用すれば、従業員の育休等取得による業績への影響を最小限に留められるばかりか、コストを上回るリターンが得られることもあります。

育休関連の「両立支援等助成金」活用方法および申請準備のポイントについて押さえておくことは、事業運営上も、極めて有益なものとなること間違いありません。

それでは1つずつ解説していきます。

育休関連助成金を利用できない事業主

助成金の具体的な活用方法およびポイントについて解説する前に、利用対象外となる場合について見ておきましょう。

そもそもの部分で対象から外れていれば、いくら制度内容を把握したとしても意味がありません。

なお、育休関連の助成金を申請できるのは、以下の要件を満たす中小企業事業主のみとなる点、まずはご注意下さい。

両立支援等助成金制度における「中小企業事業主」の範囲

小売業(飲食業を含む)資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が  50人以下の事業
サービス業資本金又は出資額が 5千万円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業
卸売業資本金又は出資額が  1億円以下、または常時雇用する労働者数が 100人以下の事業
その他資本金又は出資額が  3億円以下、または常時雇用する労働者数が 300人以下の事業

上記の範囲を超える事業主は申請することができませんのでご注意下さい。

なお、「資本金又は出資額」と「常時雇用する労働者数」のいずれかが基準外であったとしても、もう一方が基準を満たしていれば申請対象となります。

加えて以下に該当する事業主は、たとえ個々の制度の要件を満たしていたとしても、両立支援等助成金を受給することはできませんのでご注意下さい。

■ 雇用関係助成金を申請し、不正受給による不支給決定又は支給決定の取り消しを受けた場合で、当該決定日から5年を経過していない事業主

(申請日が平成31年3月31日以前の場合は、上記の決定日から3年を経過していない事業主)

■ 「他の事業主」の不正受給に「役員として関与したことのある者」を自社の役員に就任させている事業主で以下に該当する場合

  • 「他の事業主」が不支給決定又は支給決定の取り消しを受けた日から5年を経過していない場合
  • 「他の事業主」が不正受給に係る請求金を納付していない場合(時効が完成している場合は除く)

■ 支給申請を行った年度の前年度より前の労働保険料に未納がある事業主

(支給申請日の翌日から起算し2か月以内に納付を行った場合は除く)

■ 支給申請日前の1年間に、労働関係法令に違反した事業主

■ 支給申請日前の1年間に、以下の法令に対し、重大な違反をした事業主(法律名略称)

 ・育児介護休業法  ・次世代育成支援対策推進法  ・男女雇用機会均等法
 ・パートタイム労働法  ・女性活躍推進法

なお、育児介護休業法に対する重大な違反については、支給申請日~支給決定までの間に行われたものも含みます。

■ 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業又はこれらの一部を受託する営業を行う事業主(*)

(*)これらの営業許可を得ているだけの場合や、接待業務に従事しない労働者への助成金については申請できる場合があります

■ 事業主又は自社の役員に就任している者等が、暴力団と関わりのある場合

■ 事業主又は自社の役員に就任している者等が、破壊活動防止法第4条に規定する暴力主義的破壊活動を行い、又は行う恐れのある団体に属している場合

■ 支給申請日又は支給決定日の時点で倒産見込み、または倒産している事業主

■ 不正受給が発覚した際に、都道府県労働局等が「事業主名及び不正に関与した役員名等の公表を行うこと」について、あらかじめ承諾できない事業主

ちなみに「会社都合による解雇者」を出した事業主であっても、「両立支援等助成金」の申請を行うことは可能です。

育休関連助成金はどのような場合に申請できるか?

それでは、育休関連の両立支援等助成金が、どのような場合に申請できるのか?について見ていきましょう。

まとめると以下の通りとなります。

①男女問わず連続3カ月以上の育休を取得した場合

男性が連続5日以上の育休を取得した場合

育休に係る「業務代替者」に手当を支給した場合

育休に係る「業務代替者」を新規雇用した場合

⑤育児短時間勤務制度利用に係る「業務代替者」に手当を支給した場合

⑥所定の柔軟な働き方に関する制度を設け、一定条件の利用者が生じた場合

以上、6つのケースで申請することができます。

各ケースにおいて支給される助成金の金額は?

次に、上記①~⑥の各ケースにおいて、各々いくらの助成金が支給されるのか?について見ていきます。

まずは、従業員が・・・

①男女問わず連続3カ月以上の育休を取得した場合(*)

(*)女性の場合は産後休業期間も含む

についてです。

この場合は・・・

30万円(1事業主あたり、無期雇用者・有期雇用者 各1名ずつに限る)

が支給されます。

(詳細な制度内容は、以下の記事をご参照下さい)

また、この支給対象となった育休取得者が・・・

育休から職場復帰し、6か月間継続勤務した場合

には、さらに

30万円

が追加で支給されます。

(詳細な制度内容は、以下の記事をご参照下さい)

男性連続5日以上の育休を取得した場合(*)

(*)子の出生後8週間以内に開始したものに限る
(*)2人目は10日以上、3人目は14日以上で申請可

は、1事業主あたり3名まで・・・

1人目20万円

2・3人目10万円

が支給されます。

(詳細な制度内容は、以下の記事をご参照下さい)

育休に係る「業務代替者」に手当を支給した場合

は、業務代替の対象となった育休取得者1名あたり・・・

固定額5万円(1カ月未満の育休は2万円)+ 業務代替手当支給額の3/4

固定額部分と合わせて最大125万円

まで

1事業主10人(*) / 年(ただし、下記④⑤の制度と通算します) × 5年間

(*)業務代替の対象となった育休取得者数

を上限として

✅同一制度で最大6250万円まで!

支給されます。

(詳細な制度内容は、以下の記事をご参照下さい)

育休に係る「業務代替者」を新規雇用した場合

は、業務代替の対象となった育休取得者1名あたり・・・

業務代替期間に応じ、9万円~最大67.5万円(*)

(*)プラチナくるみん認定企業の場合は更に増額されます

1事業主10人(*) / 年(ただし、上記③・下記⑤の制度と通算します) × 5年間

(*)業務代替の対象となった育休取得者数

を上限として

✅同一制度で最大3375万円まで!

支給されます。

(詳細な制度内容は、以下の記事をご参照下さい)

育児短時間勤務制度利用に係る「業務代替者」に手当を支給した場合

は、業務代替の対象となった育児短時間勤務制度利用者1名あたり・・・

✅固定額2万円 業務代替手当支給額の3/4

✅1カ月あたり3万円までを上限

として

✅子の1歳誕生日から子が3歳となるまでの最長3年間

最大110万円(固定額2万円+3万円×12カ月×3年間)

までの範囲内で支給されます。

なお、この助成金は・・・

1事業主10人(*) / 年(ただし、上記③④の制度と通算します) × 5年間

(*)業務代替の対象となった「育児短時間勤務制度」利用者数

を上限として

✅同一制度で最大5500万円まで!

支給されます。

(詳細な制度内容は、以下の記事をご参照下さい)

⑥所定の柔軟な働き方に関する制度を設け、一定条件の利用者が生じた場合

には・・・

制度を2つ導入した事業主に対して20万円

制度を3つ以上導入した事業主に対して25万円

1事業主5人 / 年まで

支給されます。

(詳細な制度内容は、以下の記事をご参照下さい)

育休期間中の業務代替コストを支援する助成金に着目!

ここまでの内容を確認してお気づきかと思いますが、育休関連の助成金の中では・・・

✅育休取得者の代替要員雇用

✅育休もしくは育児短時間勤務中のピンチヒッターへ対する「ねぎらい」手当支給

に対するコスト支援制度が最も充実していることが分かるかと思います。

年間10名分の育休取得に対する業務代替コストについて、最大5年間に渡って支援を受けられる内容となっておりますので、フル活用した場合の助成額上限もかなり大きな金額となります。

資金面で制約が多いなかでも、上記の制度をフル活用し、男女問わずに育休取得を推進することで、人材確保に成功している事業主の方々も出てきています。

ぜひ、制度のご活用を検討してみていただければと思います。

さて、ここからは、育休関連の助成金制度活用を検討するにあたり押さえておくべきポイントについて解説していきます。

誰が助成対象者で、いつ申請できるのか?を理解しておくと分かりやすい

育休関連の助成金制度活用を検討するにあたっては・・・

助成対象となる労働者が誰なのか?によって、いつ申請できるのか?を理解しておくとスムーズです。

育休取得そのものを支援する助成金の場合

【通常の育休取得に対する助成金】

この場合は・・・

育児休業開始から3カ月経過後(*)に「育休取得時30万円」

育児休業終了後、職場復帰してから継続勤務6か月経過後に「職場復帰時30万円

(*)育休取得者が出産した本人である場合は、産後休業期間も含めます

の申請を行うことができます。

つまり、②の申請は、子が1歳となるまでの育休を取得した場合は、出産後1年半経ってからの申請になるということです。

なお、上記②の申請は、①の助成金を受給した事業主のみ申請することができます。

【パパ育休に対する助成金】

パパ育休に対する助成金の場合は・・・

✅休業終了日の翌日

から申請を行うことができます。

なお、ここで言うパパ育休とは、男性が「子の出生後8週間以内に開始」した「5日以上」の育児休業を指します。

出生時育児休業のみでなく、通常の育児休業をこの条件で取得した場合も申請対象することができます。

業務代替コストを支援する助成金の場合

業務代替コストを支援する助成金は、いずれも業務代替の要因となった育児休業が終了した後に申請を行います。

✅業務代替者を新規雇用した場合の助成金

✅ピンチヒッターへの「ねぎらい」手当支給に対する助成金

は、原則的には、いずれも・・・

業務代替要因となった育休取得者が、育休終了日から「3か月間」継続勤務した後

に申請できます。

つまり、業務代替期間が終了してから3か月以上待っての申請になるということです。

育休期間の前半部分のみ業務代替要件を満たしているような場合の申請であれば、育休の後半期間+3か月経過を待ってから申請を行うこととなります。

(令和5年度までの制度は、育休終了日から「6か月間」継続勤務後であったものが、「3か月間」に短縮されました)

ただし、業務代替要因となった育休期間が1か月に満たず終了した場合は・・・

「3か月間」継続勤務の確認は行わず、その育休終了日の翌日から

申請することができます。

【この制度の申請候補者を検討する際のポイント】

この制度は「業務代替者」に対するコストについての支援制度であるものの・・・

代替要因となった「育休取得者」の休業状況、職場復帰後の継続勤務状況

により申請のタイミングが決まります。

育休取得そのものを支援する助成金申請を検討するときは・・・

✅これから育休取得予定の従業員

の中から候補者を選定するのが一般的です。

その理由は、申請のためには「休業開始前」の要件整備が必要となるからです。

いっぽう、「業務代替コスト支援の助成金」について申請を検討するときは・・・

✅すでに育休入りしている従業員

もしくは

✅すでに育休から職場復帰している従業員

の中からも候補者を選定できる可能性があります。

特に・・・

  1. 業務代替者へ対する「ねぎらい」の手当支給
  2. 業務代替者の新規雇用

に対する助成金のうち、

2. 業務代替者の新規雇用

に対する助成金ついては、育休開始前の要件整備がほとんど必要ありません。

対象となる育休取得者が休業開始する前までに、最低限の・・・

✅「育児休業」および「育児短時間勤務制度」に関する規定

がなされており

育休取得者が職場復帰する前までに

✅「育休取得者」に対する「原職復帰」の規定

がされていれば、申請時までに支給要件を満たせる可能性が高いです。

なお、常時10名以上の事業場を有する場合は、上記いずれも就業規則(育児休業規程等)に定め、所轄労働基準監督署へ届出済でなければなりません。

なお、1. 業務代替者へ対する「ねぎらい」手当支給についての助成金を申請する場合は、上記に加えて・・・

✅「業務代替手当」についての規定

も、育休取得者が休業開始する前までに、あらかじめ定めておかなければなりません。

また・・・

✅業務代替予定スタッフとの間で行われた「業務引継ぎ」や「業務代替手当の説明」に関する面談

✅業務の一部休廃止やマニュアル作成といった「引継ぎ業務の見直し・効率化」のための取り組み

についても実際に業務代替が開始する前までに行っておかなければなりません。

1.の助成金について初回申請を検討するにあたっては、これらがネックとなってしまうことが多いですので覚えておくとよいでしょう。

育児短時間勤務制度利用者の業務代替者が助成対象となる場合

こちらの業務代替コストを支援する助成金も、原則的には、制度の利用が終了した後に申請を行います。

✅育児短時間勤務制度の利用期間が1年に満たない場合

は、制度利用終了日の翌日以降に全期間分の申請をまとめて行います。

ただし・・・

✅育児短時間勤務制度の利用期間が1年を超える場合

は、制度利用開始日から1年を経過した日の翌日以降いったんそこまで1年分の期間を区切って申請する必要があります。

助成対象となる育児短時間勤務制度は、子が3歳となるまで認められますので、制度利用が2年を超えた場合は、2年経過日の翌日以降にも再度期間を区切り2年目分としての申請が必要となります。

なお、この場合は、全期間が終了した後にも残りの期間について申請が必要となります。

この制度も「業務代替者」に対するコストについての支援制度であるものの・・・

代替要因となった「短時間勤務利用者」の制度利用状況

により申請のタイミングが決まりますのでご注意下さい。

育休以外の両立支援制度利用者が助成対象となる場合

こちらの助成金は、助成対象となる各種制度の利用者が・・・

✅制度利用開始日から6か月間を経過した日の翌日

以降に申請を行うことができます。

申請期限に注意!

なお、いずれの場合も、申請が可能となった日から2か月以内が申請期限となります。

上記の期限を過ぎた場合は、原則、受付してもらえませんので注意が必要です。

申請準備する前に知っておきたいポイント

ここまでは、育休関連の助成金制度内容と金額および申請のタイミングについて見てきました。

この記事をお読みの方々は、続けて「申請要件充足のため、いつまでに何を準備しておかなければならないのか?」をお知りになりたいかと思いますが・・・

その前に、まずは「申請準備する前に知っておきたいポイント」について解説します。

育休の申出を受けたら、とにかく早めの準備が必要!

育休関連の助成金は、とにかく早い段階で申請要件を把握し、準備に着手することが重要です。

なぜなら、この助成金は・・・

✅助成金の支給要件にしたがい「子育て支援に向けた社内体制づくり」を行った事業主

を対象として、

✅実際に育児休業等の制度利用者が発生し、所定の要件を満たした場合に助成金を支給

するという流れで審査が行われるためです。

強いて例外を示すならば、「業務代替者の新規雇用」に対する助成金は、必ずしもこの限りではありませんが、それ以外の助成金は全てこの流れで審査が行われます。

よくある誤解

この助成金についてよく誤解されているのが・・・

✅従業員に育休を取得させれば助成金をもらえるのではないか?

との誤解です。

この助成金は

「育休を取得させたこと」のみを評価し支給されるものではありません。

あくまでも・・・

要件どおり「子育て支援に向けた社内体制づくり」を行った事業主を助成対象

としています。

重要なポイントは、制度の趣旨を事前に理解しておくこと!

この助成金制度を利用するために・・・

✅助成要件に定められた各項目についての準備

を行うことで、

✅「育休しやすい」もしくは「子育てと仕事を両立しやすい」職場環境が結果的に構築される

そのうえで・・・

✅実際に育休取得者等が発生し、所定の要件を満たした時に申請を行う

と、助成金が支給される。

この助成金制度を利用することで・・・

育休や子育て支援に適合した中小企業が増え、少子化対策の側面支援につながっていく

このような制度趣旨が背景にあることを理解しておくと、スムーズに申請準備を進めることができます。

産休・育休開始前までに必要となる準備事項

それでは、ここからは、最も重要なポイントである「申請要件充足のため、いつまでに何を準備しておかなければならないか?」について解説していきます。

まずは、育休(*)開始前までに必要となる準備事項について見ていきましょう。

(*)出産する本人を休業対象者として申請する場合は、産前業開始前までに準備が必要な事項となります。

育児休業等に関する規定の整備

まず、育休関連の助成金申請を検討するにあたっては、最低限・・・

✅育児休業制度

✅育児短時間勤務制度

についての規定が、産前休業もしくは育児休業が開始となる前までに社内周知されていなければなりません。

「育児休業制度」のみでなく「育児短時間勤務制度」についても規定されていなければならないことに注意して下さい。

加えて、常時10名以上の労働者を使用する事業(事業主単位ではありません)を有する場合は・・・

所轄労働基準監督署へ就業規則が届出されていること

届出済就業規則の中に「育児休業制度」「育児短時間勤務制度」の規定があること

の両方も満たしていなければなりません。

また、常時10名未満の労働者を使用する事業(事業主単位ではありません)の場合は・・・

✅「育児休業制度」「育児短時間勤務制度」についての社内周知

が行われていなければなりません。

なお・・・

このタイミングにおいては、「育児休業制度」や「育児短時間勤務制度」の内容が最新の法令に従ったものとなっていなくても、従業員が休業等の取得を申出するにあたって差支えの無い内容であれば足ります。

ただし、出生時育児休業(産後パパ育休)の取得者を対象として助成金申請を行う場合は、上記の中で「出生時育児休業」についても規定されている必要があります。

最新の法令に則った内容への改定手続きは、助成金申請日までに行えばよいこととなっているのがポイントです。

ちなみに、休業者の所属する事業場が常時10名未満でも、別に10名以上の事業場がある場合は、その就業規則(育休規定・育児短時間勤務規定を含む)が所轄労働基準監督署へ届出されていなければなりませんのでご注意下さい。

従業員の育休取得・職場復帰を支援する旨の「会社方針」等社内周知

3か月以上の育休取得に対する助成金を申請する場合は・・・

この方針が

✅就業規則(育児休業規程等)

または

✅社内報等

明記され、休業開始前までに社内周知されていなければなりません。

(3か月以上の育休取得に対する助成金以外の制度を申請する場合、この要件は適用されません

また・・・

✅「育休復帰支援プラン」に基づいて円滑な育休取得~職場復帰を支援すること

についても上記の方針等に折り込んで社内周知されていなければなりません。

【パパ育休に対する助成金を申請する場合】

パパ育休を対象とした出生時両立支援コース申請の場合、上記の「会社方針」もしくは「育休復帰支援プラン」作成は必須要件となっておりません。

その代わり、以下の「雇用環境整備措置」の中から最低2つ以上(*)の措置を実施済であることが申請要件となっています。

(*)2人目の申請を行う場合は3つ以上、3人目の申請を行う場合は4つ以上実施する必要があります

<雇用環境整備措置の内容>

① 従業員に向けた育休に関する研修の実施

② 育休に関する相談窓口(問い合わせ・申込先)の整備

③ 従業員の育休取得事例収集および社内情報の共有

④ 育休取得を促進することに関する方針の社内周知

⑤ 育休取得円滑化のための「業務配分」又は「人員配置」に必要となる措置の実施

上記「雇用環境整備措置」内容の一つには、「②育休に関する相談窓口(問い合わせ・申込先)の整備」が含まれています。

よって、④の方針等を社内周知するのであれば、あわせて②の相談窓口も同一書面上に明記しておくと効率的です。

育休取得~職場復帰までの支援に向けた面談シートの作成

【3か月以上の育休取得に対する助成金を申請する場合】

育休開始時までには、育休取得者と上司・人事労務担当者との間で面談が行われていなければなりません。

こちらの面談シートについては、育休申出日以降に実際に行われた面談結果をもとに、あらかじめ厚生労働省が定めた書式を用いて2回分を記録しておく必要があります。

特に・・・

休業期間中の業務をいつ、誰に、どのように引継ぐのかについての打ち合わせ内容

を、しっかりと記録しておくことが大切です。

なお、他の助成金コースを申請する場合、上記の面談記録提出は求められません。

育休復帰支援プランの作成

【3か月以上の育休取得に対する助成金を申請する場合】

上記③の面談結果も踏まえ「育休復帰支援プラン」が作成されている必要があります。

このプランには・・・

✅育休取得者の業務の整理、引継ぎに関する事項

休業期間中の職場の状況等、育休取得者に対する情報提供に関する事項

が最低限盛り込まれていなければなりません。

また・・・

✅休業前の業務引継ぎが、上記のプランに基づいて行われていること

も助成金の支給要件となっている点に注意しておかなければなりません。

(3か月以上の育休取得に対する助成金以外の制度を申請する場合、育休復帰支援プラン作成は要件となっていません)

【パパ育休に対する助成金を申請する場合】

パパ育休を対象とした出生時両立支援コース申請の場合、育休復帰支援プランの作成自体は要件となっておりません。

ただし、その代わりとして・・・

✅育休取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定

について、

  • 育休復帰支援プラン
  • 就業規則(育児休業規程等)
  • 労使協定

いずれかの中に策定しておかなければなりません。

育休取得者の業務代替コストを支援する「手当支給等」の助成金を申請する場合】

業務代替者へ対する手当支給についての助成金を申請する場合は・・・

✅「業務代替手当」についての規定

育休取得者が休業開始する前までに、就業規則等(育児休業規程等)に定めておかなければなりません。

また・・・

✅業務代替予定スタッフとの間で行われた「業務引継ぎ」や「業務代替手当の説明」に関する面談

✅業務の一部休廃止やマニュアル作成といった「引継ぎ業務の見直し・効率化」のための取り組み

についても実際に業務代替が開始する前までに行っておかなければなりません。

上記の内容については、助成金申請時、申請書上にある「実施結果書」により報告を行います。

育休取得者が職場復帰する前までに必要となる準備事項

  • 育休取得者の職場復帰から6か月経過後に申請できる「職場復帰時」
  • 育休取得者の業務代替コストを支援する「新規雇用」および「手当支給等」

の助成金について申請する場合は・・・

対象となる育休取得者が職場復帰する前まで

✅育休取得者に対する「原職復帰」の規定

を就業規則(育児休業規程等)に定めておかなければなりません。

なお、常時10名以上の事業場を有する場合は、所轄労働基準監督署への届出も必要となります。

助成金申請時までに必要となる準備事項

ここからは、助成金申請時までに必要となる準備事項について解説していきます。

最新の法令に基づく育児休業規程等の改定

助成金申請時に提出する育児休業規程等は・・・

✅最新の育児介護休業法の内容に基づくもの

に改定されていなければなりません。

休業開始後に新たな法令が施行された場合は、申請時までに改定の手続きを済ませておく必要があります。

次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画の策定公表と届出

助成金申請時までには、次世代育成支援対策推進法に基づく「一般事業主行動計画」を策定し・・・

✅厚生労働省サイト「両立支援のひろば」への公表手続き

所轄労働局への策定届提出

の両方を行っておかなければなりません。

育休期間中の職場情報提供

休業期間が長期に及ぶ場合は、3か月に1回程度を目安に・・・

休業期間中における職場の状況や業務内容変更等に関する情報及び資料

について、情報提供を行う必要があります。

育休取得者に職場の現況を伝えることで、職場復帰しやすい環境づくりを行うこと

が、目的となります。

情報の提供は・・・

  • 資料の郵送
  • 電子メールによる送信
  • 企業内イントラネット掲示板への掲載

等、エビデンスを残せる方法で行います。

こちらのエビデンスは、職場復帰後6か月継続勤務した段階で申請できる「職場復帰時」の助成金申請の際、必要となります。

職場復帰前面談の実施と面談シートへの記録

育休終了日の1か月程度前までには「職場復帰前」の面談を行っておかなければなりません。

面談内容は厚生労働省が定めた面談シートに記録します。

こちらについても、上記③と同様、「職場復帰時」助成金申請の際、必要となります。

まとめ

以上が、育休関連助成金を活用していく上で、最低限押さえておくべきポイントとなります。

何度も申し上げますが、この助成金は・・・

「育休を取得させたこと」のみを評価し支給されるものではありません。

あくまでも・・・

支給要件どおりに「子育て支援に向けた社内体制づくり」を行った事業主を助成対象

とし、

✅実際に育休取得者等が発生し、所定のルールを満たした時に申請を行う

ことで助成金が支給される流れとなります。

強いて例外を示すならば、「業務代替者の新規雇用」に対する助成金は、必ずしもこの限りではありませんが、それ以外の助成金は全てこの流れで審査が行われます。

この助成金制度を利用することで・・・

✅「育休しやすい」もしくは「子育てと仕事を両立しやすい」職場環境が結果的に構築され

そのうえで・・・

育休や子育て支援に適合した中小企業が増え、少子化対策の側面支援につながっていく

このような趣旨をしっかり理解しておくと、スムーズに申請手続きを行うことができます。

これら、育休関連の非常に手厚い助成金制度を最大限活用し、従業員の子育て支援をバックアップしながら将来有望な人材の定着率を高め、活力ある事業展開を行う中小零細事業主の方々が増えていくことを願ってやみません。

なお、育休関連助成金の申請準備を行うタイミングによっては、申請要件を満たす所定書式等への落とし込みが後日付とならざるを得ないようなケースも出てくるかと思います。(面談記録を所定書式に落とし込む場合など)

このような場合は、実態に即して対応することが重要です。

育休関連の両立支援等助成金を申請するにあたっては、他にも細かい要件整備が必要となってきます。

厚生労働省が公開している「支給申請の手引き」等を熟読のうえ準備を進めていくことになります。

ご多忙につきお時間を確保できない場合は、育休関連を専門に扱う社会保険労務士へサポート依頼することをおすすめ致します。

(国家資格者として厚生労働省の助成金申請代行が認められているのは唯一、社会保険労務士のみとなります)

当事務所では、小規模企業の産休・育休をバックアップすべく・・・

育休関連助成金の申請サポート【事前手数料なし / 完全成果報酬制】を行っております。

東京しごと財団 働くパパママ育業応援奨励金 の併給申請サポートも可能です

◆育休推進企業に向けては、育休関連経費を大幅に上回る助成金制度が準備されています。

完全オンライン対応で、就業規則等改定~助成金申請代行まで個別にサポート致します。

あわせて、小規模企業でも産休・育休手続きを円滑に進められるよう・・・

産休・育休手続ナビゲーション+申請手続代行サービス

顧問契約不要・安心の一括スポット料金でご提供しております。

メールのみで・・・

  1. お申込み(別途 書面の郵送が必要となります)
  2. 最新の産休・育休制度情報収集
  3. 産休・育休、各種事務手続のアウトソーシング

まで、一筆書きで完了させることができる画期的なサービス内容となっております。

  • 産休・育休取得実績が乏しい小規模企業のご担当者様
  • ご多忙につき、「情報収集の時間確保」が難しいご担当者様
  • 業務中断せず、自分のペースで支援を受けたいご担当者様

から大変ご好評いただいております。

【全国47都道府県対応】

CLASSY. 2024年2月号(12/27発行) 「“私”のアドバイザー」欄に掲載されました

従業員数が多い企業様に対しては、産休・育休のみに特化したアドバイザー業務の提供も行っております。

アドバイザー業務の内容は、主に・・・

  1. 産休・育休関連手続きに関する常時相談対応(メール対応)
  2. 特殊なケースを含めた各種手続きサポート+申請手続き代行
  3. 最新の法令に準拠した就業規則(育児介護休業規程)の改定手続き
  4. 次世代法及び女性法(*)による一般事業主行動計画の策定支援
  5. 次世代法及び女性法(*)による年度毎の情報公表等支援
  6. 育休関連の助成金(および奨励金)等選定+申請サポート

(*)次世代育成支援対策推進法・女性活躍推進法

等となります。

年間休業取得者数の見通し等に基づき、完全カスタマイズで契約形態・利用料金等をご相談いただけます。(サポートはオンライン対応のみとなります)

【全国47都道府県対応】