【産休手当】出産手当金はいつ入る?計算方法・支給条件等、詳しく解説!

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この記事では、産前産後休業期間中に支給される、出産手当金の詳細について、初心者でもインプットしやすいよう、わかりやすく解説しています。

<この記事はこんな方におすすめです>

産休・育休制度を知っておきたい会社経営者の方

初めて産休・育休手続きをする担当者の方

これから産休・育休の利用を考えている社員の方

産休・育休制度の内容を、おさらいしたい方

✅産休・育休制度の最新情報を知りたい方

はじめに

社員の方から初めて産休や育休をとりたいと相談があった場合、ピンチヒッターの確保に加えて、最も気になるのは、以下の2点ではないでしょうか?

この記事では、上記2点を踏まえた上で、産休期間中に支給される出産手当金の内容について、わかりやすく解説していきます。

令和4年4月1日より育児介護休業法が改定され、企業規模の大小を問わず、本人又は妻の妊娠・出産を申出した労働者に対して育休取得の意向確認、制度内容の個別周知を行うことが義務化されました。

この定めは、あくまでも育休制度についてのものではありますが、産休の取得を希望する労働者から申出があれば、当然、産休に関する制度内容についても同時に説明すべきものであると捉えるのが自然ではないでしょうか。

よって、会社手続き担当者の方は育休に関する制度のみならず、産休関連の制度についても、社員の方へ誤った説明をしてしまわないよう、事前にしっかり理解しておく必要があります。

もちろん、この記事は、これから産休を取得予定の社員の方がご一読いただいても結構です。

会社の立場から制度を理解できますので、わかりやすいと思います。

なお、ここでは、船員保険に加入する方、および共済組合等に加入する公務員の方は除いて解説していきますのでご了承下さい。

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産休・育休期間中の給与支払いはどうすべきか?

さて、まずは、産休・育休期間中の給与支払いについてどうすべきかについてです。

結論から言いますと、産休・育休期間中の給与は一般的には無給です。

私は今までのところ、産休・育休期間についても給与を支払っているという会社を見たことはありません。

理由は、以下のとおりです。

給与を払うと、手当金や給付金が減額される仕組みがある


産休期間中は、休業する従業員の方が健康保険に加入している場合、出産手当金が支給されます。

育休期間中は、休業する従業員の方が雇用保険に加入しており、一定の条件を満たす場合、育児休業給付金が支給されます。

ただし、出産手当金・育児休業給付金ともに、支給対象となる休業期間中に給与が支払われた場合、その金額に応じて、手当金・給付金を無支給もしくは減額支給する支給調整の仕組みがあります。

また、事業主には産休・育休期間中の給与支払い義務もありません。(ただし、就業規則等に給与支払いにつき定めがある場合は除きます)

せっかく、休業期間中の給与を支払っても、支給調整されてしまうばかりか、そもそも給与支払い義務自体がありませんので、無給とする会社が大半を占めているというわけです。

なお、出産手当金の支給調整については後ほど詳しく解説します。

出産手当金とは


さて、ここから本題に入らせていただきます。

この記事では、産前産後休業(産休)期間中に支給される出産手当金の制度内容について解説していきます。

育児休業(育休)期間中に支給される育児休業給付金については、出産手当金制度との比較を行うなかでの解説のみにとどめることとしますのでご了承下さい。

なお、育児休業給付金の制度内容について詳しく知りたい方は、こちらのリンクをご参照下さい。


さて、出産手当金を一言で表しますと・・・

産前産後休業期間中の収入を支えるものとして

健康保険法に基づき

産休前給与の2/3程度を受給することができる

制度となります。

ちなみに、出産手当金は「土日祝日」など、会社が個別に定める「所定休日分」も含めて支給されます。

出産手当金を受給できない労働者もいる


先ほども解説しましたとおり、産休期間中は無給扱いとしている会社が一般的です。

これを補完するものとして、健康保険へ申請を行うことにより、出産手当金が支給される訳ですが、まず・・・

産休は取得できても、支給対象とならない労働者がいる

ことに注意しておかなければなりません。

どういうことなのか、詳しく見ていきましょう。

産休期間中には出産手当金が支給されるという話をしました。

しかし、これは、あくまでも健康保険法で定める・・・

  • 全国健康保険協会(協会けんぽ)
  • 健康保険組合

に加入している労働者に対しての話です。(一部の日雇い労働者は除きます)

産休は、労働基準法により母体保護を目的として定められているため、取得を希望する全ての労働者に与えなければならないことになっています。

一方、出産手当金は、健康保険法に定められた別制度の位置づけです。

よって、産休は取得できるが、出産手当金はもらえない労働者がいることとなります。

出産手当金を受給できない労働者

配偶者など親族の加入する健康保険の扶養家族(=被扶養者)となっている労働者

自分で国民健康保険に加入している労働者(一部の国民健康保険組合加入者は除く)

健康保険に加入する日雇い労働者の内、出産月の前4カ月間において26日分以上、保険料を納付していない労働者

上記の人々には、原則、出産手当金の支給が行われません。

よって・・・

パートやアルバイト等、短時間で働いている人

飲食・理美容業など、健康保険への加入が強制となっていない個人事業主の元で働いている人

日雇い勤務で働いている人

については、健康保険へ加入しているか否かの再チェックを最初にしておく必要があります。

ただし、例外として、同種同業の組合員で組織された国民健康保険組合等に加入している労働者の一部には、組合独自の定めで、出産手当金が支給される場合があります。

よって、国民健康保険に加入している社員に対しては、加入先の国保から出産手当金が支給されるのか否か、念のため事前確認しておくよう伝えておいたほうがよいかもしれません。

支給されるタイミングについて

次に支給されるタイミングについてですが、

一般的には・・・

産休が終了してから1か月くらい後の支給になることがある

と理解しておいて下さい。

ちなみに、申請が通った後の支給方法は、

本人が届出した指定銀行口座への一括振込入金

となります。

産前および産後休業期間中に複数回に渡り申請を行えば支給を早めることができますが、事務手続きが煩雑になりますので、休業する社員の方から特別に要望がある場合のみ対応している事業者が多いのが現状です。

支給を早めるために手続きした場合であっても、休業日から1カ月くらい後の支給になると考えておいたほうが無難です。

この支給時期について・・・

産休予定の社員の方には、当面の収入のこともありますので、早めに伝えておいてあげたいところです。

では、なぜ、遅くなってしまうのでしょうか?

理由は、「支給されるまでに」というよりも「申請できるようになるまでに」時間がかかることにあります。

時間がかかるポイントとしては以下の2点が挙げられます。

申請時点で、実際に休業した日が確定していなければならず、休業予定の段階では申請できないこと

産休取得日が属する賃金締切り期間が過ぎてからでないと、勤務先による「休業した日に対する賃金支払い有無の証明」がスムーズに行えない場合があること(*)

(*)
全国健康保険協会の場合、従前は、賃金締切り期間を経過してからでないと出産手当金の申請自体ができないルールになっていましたが、令和5年1月以降の申請書式簡素化にともない、支給対象日を経過していれば申請できるよう要件も緩和されました。

出産手当金の申請方法

それでは、出産手当金の具体的な申請方法について見ていきましょう。

申請先


出産手当金を受給するためには、「出産手当金支給申請書」を会社を管轄する全国健康保険協会(協会けんぽ)支部あてに申請します。

健康保険組合加入企業の場合は加入先の健保組合へ申請します。

なお、国民健康保険組合から支給を受けられる場合は、本人が直接加入先の国保組合との間で手続きすることとなります。

支給申請を行うタイミング


先ほども解説しましたが、出産手当金の申請は・・・

申請時点で、実際に休業した日が確定していなければなりません。

よって、出産手当金の申請手続は、産休終了後に行われるのが一般的となります。

出産証明の受入


なお、この申請を行うためには、「出産手当金支給申請書」の所定欄に・・・

出産したことの証明

を受入する必要があります。

この証明は、休業者本人が、出産先医療機関の担当医師・助産師に記入を依頼します。

休業前後の給与支払い状況の確認


出産証明受入後は、勤務先の会社から申請を行うのが一般的です。

会社は、本人から提出された申請書の所定欄に・・・

休業前後の給与支払い状況を記載・証明

し、全国健康保険協会支部(あるいは健康保険組合)へ申請を行います。

急ぎで申請する場合の留意点


申請を急ぎたい場合は、産休が終了する前であっても申請を行うことができますが、申請日より前の休業期間のみが支給申請の対象となります。

なお、出産前に申請を行う場合は、

申請書の出産証明欄については、出産予定日と胎児数について証明を受入れ

すればよいこととなっています。

また・・・

申請対象となる休業期間についての勤務先による賃金支払状況証明も必要

となります。

なお、残りの休業期間分の手当金申請については、2回目以降の申請として、改めて手続きを行う必要があります。

この場合、

出産後の申請分については、改めて出産証明を受入する必要があります。

なお、出産証明は1度受入済であれば、それ以後に申請する際の記入は不要となります。

複数の申請を繰り返すと事務負担が大きくなりますので、不要不急の場合でなければ、なるべく産休終了後1回にまとめて申請することをお勧めします

支給期間について


それでは続いて、支給期間について解説します。

産休期間は最長で産前約6週間、産後は8週間


まずは、労働基準法の産前産後休業期間から見ていきましょう。

産休期間は、産前休業期間と産後休業期間に分かれます。

産前休業は、出産予定日の6週(多胎妊娠14週)間前から請求可能となっていますが、必ず6週(14週)間前から取得するものではなく、妊娠中の労働者本人からの請求に基づき開始します。

対して、産後休業は出産日の翌日から8週間となっており、原則、就労禁止です。
ただし、以下の要件を満たす場合のみ就労することが可能です。

  • 産後6週間が経過していること
  • 本人が就労を希望していること
  • 医師が認める業務への就労であることの証明が提出されていること

次に、産前休業・産後休業日数を数える際の起算日についてです。


産前休業は「出産予定日」から・・・

産後休業は「実際の出産日」の翌日から・・・

カウントするのがポイントです。

つまり、出産日当日=産前期間となりますので、労働者本人から請求がなければ、ルール上は出産日当日の就労も可能ということです。

労働基準法と健康保険法では産前休業期間の考え方が若干異なる


当初の出産予定日と実際の出産日にズレが生じた場合、労働基準法の産前休業期間は長くなったり短くなったりします。

それに応じて、通例は、出産手当金の支給日数も多くなったり少なくなったりします。

つまり、労働基準法も健康保険法も基本的な産前産後休業期間の考え方は同じです。

ただし、予定日より前に出産となるケースについてのみ、健康保険法独自の取り決めが適用されるケースがあります。

どのようなことなのか、詳しく見ていきましょう。

健康保険法では・・・

産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間

を産休期間としています。

ここでの大きなポイントは、産休期間を出産予定日からではなく、実際の出産日から起算している点です。
(ただし、予定日より遅く出産した場合は、出産予定日から起算する決まりになっています)

労働基準法の産休期間は、出産予定日から起算していますので、予定より早く出産すると短くなりますよね。

対して、健康保険法で定める産休期間は、実際の出産日から起算しますから短くなるとは限りません。

何を言いたいかというと・・・

予定日より早まった日数分を当初の産休開始日から繰上げて、再判定した中に・・・

「妊娠・出産のため労務に服さなかった」日があれば、その日も産休期間≒出産手当金の支給対象に含めることができる

ということです。

例えば、当初産休開始日の直前に、所定休日、欠勤日をくっつけているような場合がこれにあたります。

ちなみに、これらの日が当初産休開始日と連続していなければならないルールはありません。

ただし・・・

「妊娠・出産のため労務に服さなかった日」でなければ、産休期間に含めることはできません。


それでは、上記のケースで、当初産休開始日の直前に年次有給休暇を取得していた場合はどうなるでしょうか?

年次有給休暇を取得している日についても産休期間に含めることはできます。

ただし、年次有給休暇の取得日に対しては給与が支給されますので、冒頭で解説したとおり、その金額によっては出産手当金が無支給となるか、もしくは減額支給されることとなります。


次に、予定日よりも遅く出産した場合について解説します。

この場合は・・・

当初産休開始日を繰り下げる必要はなく、従前どおり出産予定日から起算して産前休業期間を数える

こととなっています。

予定より早く出産した場合のように、産前休業期間の再判定を行う必要は生じません。

つまり、予定より遅れた分、産前休業期間は長くなり、その分、出産手当金の支給対象日数も多くなるということです。

ちなみに、この考え方は、産休期間中の社会保険料免除を決定する際にも同じく適用されます。

支給額について

さて、ここからは、支給額について解説していきます。

まず、

出産手当金は日額ベースで支給される

ということを踏まえておきましょう。

支給日額×支給日数=支給総額が、後日、届出した預金口座へ一括振込されるイメージです。

それでは、具体的な日額計算方法について見ていきます。

なお、以下で解説する計算方法は、全国健康保険協会(協会けんぽ)加入企業の場合のものとなります。

健康保険組合加入企業の場合は、加入先組合の定めにしたがって下さい。

私の知る限り、どの健保組合も、協会けんぽと概ね同様の計算方法としているようですが、各組合で独自の制度運営をしているケースがあるかもしれませんのでご注意下さい。

話を元へ戻します。

協会けんぽの場合、出産手当金の支給日額は・・・

支給開始日以前における、連続した12カ月間の各月の標準報酬月額平均額÷30日分×2/3

となります。

なお、端数計算については・・・

÷30日した後の端数は →10円未満四捨五入

×2/3 した後の端数は →  円未満四捨五入

とします。

ここでのポイントは、標準報酬月額が計算のベースとなっている点です。

実際に支給された給与額をベースにするわけではありませんのでご注意下さい。

また、支給開始日以前の連続した12か月間に、標準報酬月額が改定されている場合は、12か月の平均額を計算のベースとする点にも注意が必要です。

標準報酬月額の仕組みについて知りたい方は、以下、協会けんぽのホームページをご参照下さい。
リンクを貼らせていただきます。

なお、健康保険組合(組合けんぽ)では、出産手当金の付加給付(増額支給)を行っている場合があります。

各組合ごとに独自の取り決めをしていますので、加入先が健保組合の場合は、必ず付加給付の有無についても確認しておきましょう。

(全国健康保険協会〔協会けんぽ〕には、付加給付の制度はありません)

協会けんぽ加入後12カ月に満たない場合の計算方法


では、健康保険に加入してから12か月に満たない社員が産休を取得した場合、出産手当金はどのように計算するのでしょうか?

この場合は・・・

12カ月に満たない部分の、各月の標準報酬月額平均額

全国健康保険協会が別途発表する、全加入者の標準報酬月額平均額(令和5年度=30万円)

のうち、いずれか小さい額÷30日分×2/3を支給日額とします。

支給調整について

産休中や育休中、会社が独自に給与(賞与は除く)を支払っても、出産手当金や育児休業給付金の支給が調整されてしまうことにつき冒頭で触れました。

ここでは、出産手当金の支給調整内容について具体的に見ていくこととします。

まず、支給調整についても日額ベースで行われるということを踏まえておきましょう。

その内容については・・・

給与日額 > 出産手当金日額 の場合は 不支給

給与日額 < 出産手当金日額 の場合は 出産手当金日額から給与日額を引いた額を支給

となります。

なお、ここでの給与日額算定は、出産手当金日額の算定とフェーズを合わせるため、月額給与支給額を30日で割って計算します。

ちなみに、「通勤手当」や「住宅手当」「扶養手当」など、毎月「固定額」を支給している手当については・・・

休業対象日を含む計算期間に、「休業日数に応じた減額支給」を行わなかった場合、支給調整の対象となる場合があります。

賞与を支給した場合


それでは、出産手当金の支給対象期間中に賞与を支給した場合はどうなるでしょうか?

賞与を支給した場合については、支給調整は行われず、出産手当金の全額を受給することができます。

ちなみに、少し脱線しますが・・・

産休の取得を理由に賞与を支給しないことは、男女雇用機会均等法第9条で禁止されています。

賞与支給の目的には、今後の成績に対する期待も加味されるため、妊娠や出産を控えた従業員の賞与を減額査定することは、一概に違反とまでは言えません。

ただし、不利益取扱いにならない様、合理的な説明が必要となりますのでご注意下さい。

会社役員でも出産手当金を受給できる


会社役員は労働基準法が適用されないため、労働基準法に定められた産休制度も適用がありません。

しかしながら、健康保険に加入している会社役員であれば、妊娠・出産のために休業した場合、その期間に対する出産手当金を受給することができます。

その理由は、出産手当金の支給対象期間である・・・

産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間

は、健康保険法で独自に定められているからです。

よって、労働基準法の産休制度が利用できるか否かに関係なく、受給要件を満たす健康保険加入者であれば、その全てが出産手当金の受給対象者となるわけです。

会社役員は育休時の育児休業給付金を受給できない

少し横道にそれますが、会社役員の場合、育児休業給付金は受給できるのでしょうか?

答えは×で、受給できません。

その理由は・・・

育児休業給付金は雇用保険法の制度

であるからです。

会社役員には雇用保険が適用されず、日頃から雇用保険料も支払っていませんので、仮に育児のために休業したとしても育児休業給付金を受給することはできません。

ただし、例外として雇用保険に加入している使用人兼務役員については、一般の労働者と同様、育児休業給付金を受給することができます。

任意継続被保険者は、出産手当金を受給できない

また、出産手当金に話を戻します。

次に、会社を退職した後も、保険料を全額自己負担すれば、最長2年間、引き続き離職した会社の健康保険に加入し続けられる任意継続被保険者の扱いについてです。

任意継続被保険者であっても、健康保険への強制加入義務が無い個人事業主のもとで就労することとなれば、労働基準法の産休制度が適用されないとも限りません。

めったにお目にかからないケースですが、このような場合、出産手当金は支給されるのでしょうか?

全国健康保険協会(協会けんぽ)では・・・

任意継続被保険者は出産手当金の支給対象外

としています。

健康保険が適用されていない、他の事業所での就労を休業した場合の話ですから、手当の支給対象から外されているのは当然のような気がします。

なお、健康保険組合の場合は(適用対象としているところは聞いたことがありませんが)、独自の定めがあるかもしれませんので、念のため加入先の組合へ確認して下さい。

妊娠85日以後の流産・人工妊娠中絶の場合も支給対象となる

労働基準法では、「出産」について以下のように定めています。

  • 妊娠85日以後の出産(早産を含む)
  • 妊娠85日以後の死産(流産)
  • 妊娠85日以後の人工妊娠中絶 

上記に該当した日は全て出産日とみなしますので・・・

その産前42日(多胎妊娠の場合は98日)、産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間

についても出産手当金の支給対象となります。

なお、出産予定日より早く出産した場合や遅く出産した場合の取扱いについても、通常の出産の場合と同様となります。

産休中やむを得ず離職する場合

最後に、産休中に離職してしまった場合の扱いです。

健康保険法では、出産予定日前42日(多胎妊娠98日)を過ぎてから離職する場合についても・・・

産前休業開始日から、産後56日間全てに対する出産手当金

を受給することができるとしています。

ただし、受給要件として・・・

連続して1年以上、健康保険に加入していること

退職日に出勤していないこと

の2点を満たしていなければなりません。

事業主の方にとっては、産休もしくは育休を取得し、職場復帰する予定であった社員が、思いがけず離職してしまうのですから、心中穏やかではないかもしれません。

ピンチ要員確保等の手配も行っていることを考慮すれば尚のことです。

あえて手当金を受給させてあげようと、会社から働きかけるケースもあるかもしれませんが、この場合は制度趣旨から外れることとなります。

ですので、表題はあくまでも、「やむを得ず離職する場合」とさせていただきました。

当然ながら、受給する労働者の側も、もともと離職するつもりでいて、この特例を利用するのは慎むべきことだと思います。

なお、この場合も、

医師・助産師による出産証明

勤務先による「出産のため休業したこと」と「賃金支払い有無」の証明

がなければ出産手当金の申請はできませんので再確認しておきましょう。


また、出産手当金の受給期間中については雇用保険から失業給付を受給することはできないことも押さえておきましょう。

まとめ

今回は、産休中の収入補助である、出産手当金について解説してきました。

意外にも、気を付けておくべきポイントがたくさんあることに驚かれたのではないでしょうか?

手続きを進める際には、また再読し、ぜひ活用していただければと思います。

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