■この記事では、出生時育児休業(産後パパ育休)と育児休業の違いについて分かりやすく解説しています。
出生時育児休業と育児休業は別々の制度
まず最初に、「出生時育児休業(産後パパ育休)制度」は・・・
✅従来からある「育児休業制度」に追加して制定された別制度
であることを確認しておきましょう。
なお、出生時育児休業は・・・
✅男性労働者(特別養子縁組里親の場合は女性も可)が
✅子の出生後8週間以内(配偶者等の産後休業期間に相当)に限定して取得できる制度
であり、
✅上記8週間以内において取得できる日数は最長4週間まで
と決められています。
また・・・
✅合計して4週間を超えなければ、2回に分割して取得することも可能
となっています。
ちなみに、通常の「育児休業」も2回に分割して取得することができます。
このため、男性労働者(子が養子であれば女性も可)は・・・
✅子の出生後8週間以内に「出生時育児休業」を2回に分割して取得
✅その後、子が1歳となるまでに「育児休業」を2回に分割して取得
すれば、合計4回に分割して休業することが可能となっています。
出生時育児休業と育児休業の相違点
さて、ここから本題の相違点について見ていきましょう。
「出生時育児休業」は、通常の「育児休業」制度と比べ、以下4点の違いがあります。
- 休業期間中の一部について、計画的な就業が認められている
- 申出期限が2週間前と短く設定されている
- 分割取得はまとめて申出が必要
- 対象外とする労働者が一部異なる
では、1つずつ見ていきましょう。
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1.出生時育児休業では計画的な一部就業が認められている
通常の「育児休業」制度では、休業期間中の就業は想定されていません。
「育児休業給付金」は、1支給単位期間(概ね1カ月間)において・・・
✅10日間あるいは80時間までの範囲内で就業した場合であれば、通常どおり支給する
こととされていますが、これはあくまでも・・・
✅「臨時的」もしくは「一時的」に就業した場合のこと
を指しています。
つまり、通常の「育児休業」では・・・
✅あらかじめ計画して、休業期間中に就業することは認められていません。
参考資料:育児休業中の就労について(厚生労働省 令和2年12月作成)
いっぽう、「出生時育児休業」では・・・
✅あらかじめ計画して、休業期間中に就業することが認められています。
ただし、以下の要件に従って就業しなければなりません。
【出生時育児休業期間中に就業するための要件】
✅就業日数(時間数)は、休業期間中の総所定労働日数(時間数)の半分までとすること
✅休業開始日と終了日については、所定労働時間に対しフルタイム就業不可(一部就業は可)
✅所定労働時間を超えて労働しないこと(所定外残業は一切禁止)
2.通常の育児休業より申出期限が短く設定されている
出生時育児休業と育児休業の申出期限には以下の違いがあります。
✅出生時育児休業:休業開始日の2週間前まで
✅通常の育児休業:休業開始日の1カ月前まで
申出期限が短い分、出生時育児休業のほうが申出しやすくなっているといえます。
なお、出生時育児休業の申出期限を1カ月前までとすることも可能ですが・・・
✅所定の「雇用環境整備措置」を全て実施すること
✅労使協定を締結すること
の両方を満たさなければなりません。
なお、この点について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照下さい。
3.分割取得時の申出方法の違い
分割取得時の申出方法についても以下のような違いがあります。
✅出生時育児休業:2回分の休業期間をまとめて申出しなければならない
✅通常の育児休業:休業1回毎に申出(各々1カ月前までに申出が必要)
4.休業の対象外となる労働者の違い
通常の「育児休業」・「出生時育児休業」ともに・・・
✅日雇い労働者
✅会社役員(使用人兼務役員等は除く)
✅自営業者
は、取得対象者から除外されています。
上記に加え「出生時育児休業」の場合は、夫による休業取得を想定した制度のため・・・
✅産後休業の取得対象者(産婦である女性労働者)
も取得対象者から除外されています。
なお、有期雇用労働者については、通常の「育児休業」と「出生時育児休業」との間で取扱いが異なります。
通常の「育児休業」の場合は・・・
✅子が1歳6か月となる日までに契約終了することが明らかな労働者
を取得対象者から除外していますが、
「出生時育児休業」の場合は・・・
(「子の出生日」又は「出産予定日」の遅い方から起算し)
✅「8週間を経過する日」の翌日から「6か月を経過する日」までに契約満了することが明らかな労働者
を取得対象者から除外しています。
また、労使協定で除外できる労働者についても、通常の「育児休業」と「出生時育児休業」との間で取扱いが異なります。
✅入社1年未満の労働者
✅1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
を除外できるのは、両制度ともに共通ですが、
通常の「育児休業」では・・・
✅申出の日から1年以内に退職することが明らかな労働者
✅子が1歳6か月又は2歳になるまで育休延長を申出する際、6か月以内に退職することが明らかな労働者
を取得対象者から除外しているのに対し、
「出生時育児休業」の場合は・・・
✅申出日から8週間以内に雇用関係が終了することが明らかな労働者
を取得対象者から除外しています。
産後8週間以内の育休取得については、以下の記事もご参照下さい。
出生時育児休業給付金について知りたい方は、以下の記事もご参照下さい。
育児休業・出生時育児休業について、より詳しく知りたい方は以下の記事もご参照下さい↓
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