【育児短時間勤務7つのポイント】3歳未満の子を養育中の所定労働時間短縮措置について解説!

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この記事では、3歳未満の子を養育する労働者に対する短時間勤務制度について7つのポイントをふまえ解説しています。

<この記事はこんな方におすすめです>

✅育児中の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方

✅育児中の社員の方

✅産休・育休予定の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方

✅これから産休・育休の利用を考えている社員の方

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  4. 出産手当金(*)・育休給付金・社会保険料免除等、産休・育休に必要な全ての申請(手続代行)
  5. 社会保険料引き落しの停止や地方税徴収方法変更等、給与支払事務の変更手続
  6. 職場復帰後の「休業終了時 社会保険料特例改定」・「厚生年金保険料 養育期間特例適用」申請(手続代行)

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CLASSY. 2024年2月号(12/27発刊) 「“私”のアドバイザー」欄に掲載されました

はじめに

育児介護休業法では、事業主は、3歳未満の子を養育する労働者に対して短時間勤務制度を設けなければならないとしています。

このルールは、産休・育休から職場復帰した労働者だけでなく、該当する全ての労働者を対象として適用され、事業主は企業規模の大小に関わらず対応しなければなりません。

そこで、この記事では上記のルールについて7つのポイントをふまえ分かりやすく解説していきます。

育児中、あるいは産休・育休予定の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方には、是非ともこの記事をご活用いただき、社内の体制を整えていただければと思います。

なお、ここでは、公務員の方は除いて解説していきますのでご了承下さい。

育児のための短時間勤務制度とは

それではまず、育児のための短時間勤務制度がどのように規定されているか見ていきましょう。

【育児短時間勤務制度の内容】

事業主は、3歳未満の子を養育する労働者からの請求に備えて・・・

あらかじめ、所定労働時間を6時間とした短時間勤務制度を就業規則等に定めておかなければなりません。

なお、上記6時間の制度を定めた上であれば、6時間を下回る制度(例えば5時間の短時間勤務)や6時間を上回る制度(例えば7時間の短時間勤務)をあわせて定めることも可能です。

このようにフレキシブルに「1日6時間の勤務制度」のみならず「他の勤務時間による制度」もあわせて設定することが望ましいとして、より柔軟に勤務時間を選択できるよう、令和7年度中の施行を目指し、現在、制度内容の改定が検討されています。


さて、この短時間勤務制度の利用についてですが・・・

事業主は事業の正常な運営を妨げる」ことを理由に、労働者からの請求を拒否することはできません。

ただし・・・

以下の労働者は労使協定の有無にかかわらず、この制度の対象から除外されています。

  • 日雇い労働者
  • もともと1日の所定労働時間が6時間以下の労働者
  • 労働基準法41条該当者*

【*労働基準法41条該当者】

  • 管理監督者であって、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者
  • 農水産業従事者(林業を除く)
  • 監視など断続的労働従事者で労働基準監督署の許可を受けた者

また、上記に加えて・・・

労使協定を締結することにより、この制度の対象外とする労働者を追加することができます。


なお、この制度の適用を受けたことを理由として、解雇・雇止め・減給等、不利益な取扱いを行うことは育児・介護休業法で固く禁止されています。

育児・介護休業法には罰則こそ定められてはおりませんが、違反が明らかとなった場合には、厚生労働省(都道府県労働局)の是正勧告が行われることとなり、勧告に従わない場合は企業名が公表されることとなります。

企業名が公表されると、ハローワークでの求人が受理されなくなる等の大きなペナルティーにつながる可能性があります。

また、当局から求められた報告を行わない場合や、虚偽報告を行った場合は20万円以下の過料に処されます。

育児時短勤務7つのポイント

それでは次に、この制度のポイントについて見ていきましょう。

この制度のポイントは・・・

  1. 申出の有無にかかわらず、制度自体を設けておかなければならないこと
  2. 所定労働時間を6時間とした規則を定めなければならないこと
  3. 3歳未満の子を養育中であれば、育休取得の有無や男女の別を問わず申出できること
  4. 労使協定により対象外とする者を追加できること
  5. 時短勤務の対象とすることが困難な業務をあらかじめ定められること
  6. 指定された困難業務に従事する労働者には代替措置を講じなければならないこと
  7. 制度を利用する際の、申出期限や申出期間指定ルールは法律に定めがないこと

の7つに分かれます。

それでは1つずつ見ていきましょう。

①育児時短勤務制度はあらかじめ規則に定めておく必要がある


まず、1つ目のポイント・・・

申出の有無にかかわらず、制度自体を設けておかなければならないこと

についてです。

事業主は、3歳未満の子を養育する労働者からの請求に備えて・・・

あらかじめ、所定労働時間を6時間とした短時間勤務制度を就業規則等に定めておかなければなりません。

なお、上記6時間の制度を定めた上であれば、6時間を下回る制度(例えば5時間の短時間勤務)や6時間を上回る制度(例えば7時間の短時間勤務)をあわせて定めることも可能です。

この短時間勤務制度の利用は・・・

事業の正常な運営を妨げる」ことを理由に、請求を拒否することはできません。

就業規則等に定めが無い場合でも、子を養育する労働者本人より請求がある場合には、法のとおりに時短勤務させなければなりません。

②所定労働時間を6時間とした制度をあらかじめ定めなければならない


次に2つ目のポイント・・・

育児短時間勤務の所定労働時間は6時間として規則に定めなければならないこと

についてです。

このことは・・・

育児短時間勤務の所定労働時間は必ず6時間にしなければならない

という意味ではなく、

所定労働時間を6時間に短縮する制度」は必ず設けるよう、全事業主に義務付けている

という意味です。

つまり、労働者本人が6時間を上回る時短勤務を希望するのであれば、当該条件で時短勤務させても何の問題もありません。

また、労働者本人から6時間未満の時短勤務申出があった場合も、事業主が同意すれば、規則を上回る条件として当該条件で時短勤務させることもできます。

ただし、後々のことを考え、例外事案を発生させたくなければ、法を上回る規則を定めておくか、6時間未満は認めない対応とするか、あらかじめ決めておいたほうがよいでしょう。

3歳未満の子を養育するほぼ全ての労働者を対象としている


続いて3つ目のポイント・・・

3歳未満の子を養育中であれば、育休取得の有無や男女の別を問わず申出できること

についてです。

このルールは、「3歳未満の子を養育するほぼ全ての労働者*」を対象としている点に注意が必要です。

*日雇い労働者・労働基準法41条該当者・ もともと1日の所定労働時間が6時間以下の労働者は除きます

産休・育休取得の有無や、女性労働者か?男性労働者か?は問いません。

育休取得歴がない男性労働者であっても、3歳未満の子を養育していれば申出することができます。

なお、配偶者が就業しておらず、子の養育に専念していたとしても、申出を拒否する理由にはなりませんのでご注意下さい。

④労使協定により対象外とする者を追加できる


それでは、4つ目のポイント・・・

労使協定により対象外とする者を追加できること

についてです。

労使協定により免除対象外とすることができる労働者は、あらかじめ育児介護休業法によって、以下のとおり定められています。

  • 入社1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 短時間勤務制度を適用することが困難と認められる業務(*)に従事する労働者

*具体的な業務の範囲についても協定する必要があります

入社したての労働者や週あたりの労働日数が2日以下と少ない労働者、時短勤務の適用が難しい業務に従事する労働者は対象から除外することが認められています。

ちなみに労使協定を締結しても、配偶者が専業主婦(夫)であることや、育休中であること等を理由に、免除の対象から外すことはできませんのでご注意下さい。

⑤時短勤務の適用が難しい業務を労使協定で定められる


続いて、5つ目のポイント・・・

時短勤務の対象とすることが困難な業務をあらかじめ労使協定により定められること

についてです。

この短時間勤務制度の利用は、所定時間外労働(残業)や深夜業の免除ルールとは異なり・・・

事業の正常な運営を妨げる」ことを理由に、労働者からの申出を断ることはできません。

そのかわり、あらかじめ労使協定により適用が難しい業務を定めておけば、その業務に従事する労働者を制度利用の対象外にできることとしています。

ただし・・・

この協定により「時短勤務」の利用ができなくなった労働者に対しては、所定の代替措置を講じなければなりません。

このことは、次の章でくわしく解説します。


それでは、あらかじめ労使協定で定めることができる「時短勤務の適用が困難な業務」の内容について見ていきましょう。

労使協定で定めることができる適用困難な業務の内容


育児介護休業法では、労使協定で定めることができる適用困難な業務について、以下3つの類型に分けて例示しています。

  1. 業務の「性質」から適用困難と認められるもの
  2. 業務の「実施体制」から適用困難と認められるもの
  3. 業務の「性質」「実施体制」の両面から適用困難と認められるもの

それでは1つずつ見ていきましょう。

なお、以下の例示は厚生労働省のリーフレットより抜粋しています。

1.業務の「性質」から困難な例

国際路線等に就航する航空機において従事する客室乗務員等の業務

国際線の旅客機は就航している時間が長いため、業務の「性質」上、時短勤務の適用が困難であると言えます。

2.業務の「実施体制」から困難な例

労働者数が少ない事業所において、当該業務に従事しうる労働者数が著しく少ない業務

労働者数が少ない事業所では、特殊業務や専門業務など、代わりに業務を遂行できる人員を確保できない場合があります。

このような場合、業務の「実施体制」から、時短勤務の適用が困難であるといえます。

ただ単に、労働者数が少ないだけではなく、具体的に代わりの担い手を確保することが困難な業務でならない点に注意が必要です。

3.業務の「性質」「実施体制」の両方から困難な例

流れ作業方式による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務

交代制勤務による製造業務であって、短時間勤務の者を勤務体制に組み込むことが困難な業務

流れ作業方式や交代制勤務では、余剰人員を抱えていない場合、職場のメンバーが均一の労働時間で働かなければ全体の業務遂行が困難であったり、シフトが組めなくなってしまう場合があります。

個人ごとに担当する企業、地域等が厳密に分担されていて、他の労働者では代替が困難な業務

担当先や地域を属人化せざるを得ないような業務を指します。

他の労働者がピンチヒッターとして代替可能な場合は該当しません。

⑥時短が困難な業務に従事する労働者には代替措置を講じなければならない


それでは6つ目のポイント・・・

労使協定で定められた「時短勤務の適用が困難な業務」に従事する労働者には代替措置を講じなければならないこと

について解説します。

先の章のとおり、労使協定により「時短勤務の適用が困難な業務」を定めた場合には、当該業務に従事する労働者は、3歳未満の子を養育していたとしても「育児短時間勤務制度」を利用するができなくなります。

このため、育児介護休業法では、以下に掲げる代替措置の中からいずれかを実施するよう事業主に義務づけています。

  • 育児休業に関する制度に準ずる措置
  • フレックスタイム制度
  • 始業・就業時刻の繰り上げ、繰り下げ(時差出勤制度)
  • 事業所内保育施設の設置運営、その他これに準ずる便宜の供与

⑦申出期限や申出期間指定ルールは法律に定めがない


最後に7つ目のポイント・・・

制度を利用する際の、申出期限や申出期間指定ルールは法律に定めがないこと

についてです。

3歳未満の子を養育する労働者に対する「残業免除」や、小学校入学前の子を養育する労働者に対する「残業時間の制限」・「深夜業免除」の申出を希望する労働者は、1カ月前までに、1カ月間から1年(深夜業免除の場合は6カ月)以内の期間を指定して事前に事業主へ申出しなければならないことが育児介護休業法によって定められています。

一方、ここまで解説してきた、3歳未満の子を養育する労働者に対する「短時間勤務制度」には、法律にこのようなルールがありません。

つまり、短時間勤務制度については・・・

「いつまでに申出が必要か?」や「どのくらいの期間認めるか?」は、事業場の実情に照らして、事業主の判断で就業規則等に定める

こととなります。

法律上ルールが無いとはいえ、この定め自体を行っておくことは極めて重要ですので注意しておきましょう。

ちなみに厚生労働省のモデル就業規則では「残業免除」などの場合と同じく、「1カ月前までに、1カ月間から1年以内の期間を指定して事前に事業主へ申出」するよう定められています。

まとめ

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今回は、3歳未満の子を養育する労働者に対する短時間勤務制度について、7つのポイントをふまえて解説してきました。

労働者からの申出の有無にかかわらず、あらかじめ制度を設け、就業規則等に定めておかなければならないこと等、7つのポイントをしっかりマスターしておきましょう。

手続きを進める際には、この記事の必要な箇所を再読し、ぜひ活用していただければと思います。

それでは最後に、子を養育する労働者に対する、他の就業制限ルールとの相違点を比較できるよう、一覧表を添付させていただきます。

制度ごとの違いを確認する際にお役立て下さい。

【子を養育する労働者に対する就業制限ルール一覧表】

養育する子の年齢事業の正常な運営を妨げる場合却下41条労働者労使協定除外もともと除外
①残業禁止★
所定労働時間超
3歳までOK対象外・入社1年未満
・1週2日以下
・日雇
②時短勤務 3歳まで NG対象外・入社1年未満
・1週2日以下
・時短不可業務
(代替措置が必要)
・日雇
・1日6時間以下
③残業制限★
法定労働時間超
年150H・月24Hまで
小学校入学までOK対象外なし・日雇
・入社1年未満
・1週2日以下
④深夜業制限★小学校入学までOK対象なし・日雇
・入社1年未満
・1週2日以下
・深夜労働者
・同居人が養育可能
⑤子の看護休暇小学校入学までNG対象・入社6か月未満
・1週2日以下
・時間単位の取得不可業務を定められる
日雇
①③④の申出を希望する労働者は、1カ月前までに1カ月間から1年(③深夜業は6カ月)以内の期間を指定して事前に事業主へ申出する必要あり
上記以外に、1歳未満の生児を養育する女性労働者は、1日2回30分ずつ休憩時間を請求できる(勤務時間が4時間以内の場合は1日1回)

子育て中の労働者に対する、他の労働制限ルールについて知りたい方はこちらの記事をご参照下さい。↓

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  1. 産休・育休申出者への相談対応に必要となる最新の制度情報収集
  2. 休業申出書・育休取扱通知書等、各種必要書面の準備
  3. 切迫早産・切迫流産等発生時の傷病手当金(*)、帝王切開時の高額療養費限度額適用認定(*)申請
  4. 出産手当金(*)・育休給付金・社会保険料免除等、産休・育休に必要な全ての申請(手続代行)
  5. 社会保険料引き落しの停止や地方税徴収方法変更等、給与支払事務の変更手続
  6. 職場復帰後の「休業終了時 社会保険料特例改定」・「厚生年金保険料 養育期間特例適用」申請(手続代行)

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CLASSY. 2024年2月号(12/27発刊) 「“私”のアドバイザー」欄に掲載されました