【育児期間中の深夜業免除】小学校就学前の子を養育する労働者へ対する深夜業免除について解説

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この記事では、小学校就学前の子を養育する労働者に対する深夜業免除ルールについて6つのポイントをふまえ解説しています。

<この記事はこんな方におすすめです>

✅育児中の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方

✅育児中の社員の方

✅産休・育休予定の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方

✅これから産休・育休の利用を考えている社員の方

はじめに

育児介護休業法では、小学校就学前の子を養育している労働者が請求した場合、事業主は労使協定の有無に関わらず、午後10時~午前5時までの間に労働させてはならないことを定めています。

このルールは、産休・育休から職場復帰した労働者だけでなく、小学校就学前の子を養育するほぼ全ての労働者に対し「一定条件のもと」適用され、事業主は企業規模の大小に関わらず対応しなければなりません。

そこで、この記事では上記のルールについて6つのポイントをふまえ分かりやすく解説していきます。

育児中、あるいは産休・育休予定の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方には、是非ともこの記事をご活用いただき、社内の体制を整えていただければと思います。

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育児中の深夜業免除ルール

それではまず、小学校就学前の子を養育する労働者に対する深夜業免除のルールがどのように定められているのか?について見ていきましょう。

【深夜業免除ルールの内容】

小学校就学前の子を養育する労働者から請求があった場合・・・

事業主は、午後10時~午前5時までの間に労働させてはなりません。

ただし・・・

事業の正常な運営を妨げる場合、事業主はこの請求を拒否することができます。


なお、あらかじめ以下の労働者については、本制限措置の対象から除外されています。

  • 日雇い労働者
  • 入社1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 所定労働時間の全部が深夜にある労働者
  • 16歳以上の同居家族が一定の状況(*)にある労働者

(*)
「一定の状況」については、後ほど詳しく解説します。


なお、この制度の適用を受けたことを理由として、解雇・雇止め・減給等、不利益な取扱いを行うことは育児・介護休業法で固く禁止されています。

育児・介護休業法には罰則こそ定められてはおりませんが、違反が明らかとなった場合には、厚生労働省(都道府県労働局)の是正勧告が行われることとなり、勧告に従わない場合は企業名が公表されることとなります。

企業名が公表されると、ハローワークでの求人が受理されなくなる等の大きなペナルティーにつながる可能性があります。

また、当局から求められた報告を行わない場合や、虚偽報告を行った場合は20万円以下の過料に処されます。

深夜業免除ルール6つのポイント

それでは次に、このルールのポイントについて見ていきましょう。

このルールのポイントは・・・

  1. 16歳以上の同居家族が子の面倒を見られる状況にある労働者申出できないこと
  2. 管理監督者等の労働基準法41条該当者にも適用されること
  3. 本人から申出があった場合にのみ制限が適用されること
  4. 申出する場合は、制限開始の1カ月前までに「1カ月から6か月以内の期間」を指定して事業主へ申出しなければならないこと
  5. 事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は申出を拒否できること
  6. 労使協定で本制限の対象外とする者を定めることはできないこと

の6つに分かれます。

それでは1つずつ見ていきましょう。

①16歳以上の同居家族が子の面倒を見られる状況にある場合は申出できない


まず、1つ目のポイント・・・

16歳以上の同居家族「子の面倒を見られる状況」にある場合は申出できないこと

についてです。

この深夜業免除ルールは、小学校就学前の子を養育するほぼ全ての労働者が申出した場合に適用されますが、16歳以上の同居家族が「一定の状況」にある場合、このルールは適用されませんので注意が必要です。

では、この内容について見ていきましょう。

【一定の状況とは?】

16歳以上の同居家族が・・・

  • 月に4日以上深夜に就業していない
  • 心身の状況が子を保育できる状態にある
  • 6週間(多胎妊娠14週間)以内に出産予定でない
  • 産後8週間以内でない

ことを指します。

つまり、自分の他に「子の面倒を見ることができる状況にある」16歳以上の同居家族がいる場合、深夜業免除を申出することはできないということです。

②管理監督者等の労働基準法41条該当者にも適用される


次に、2つ目のポイント・・・

育児中の深夜業免除は管理監督者等の労働基準法41条該当者にも適用されること

についてです。

ここでいう、労働基準法41条該当者とは・・・

管理監督者であって、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者

農水産業従事者(林業を除く)

監視など断続的労働従事者で労働基準監督署の許可を受けた者

を指します。

労働基準法41条では、上記の該当者について、労働基準法における「労働時間」「休憩」「休日」に関する規定を適用しない旨定めています。

しかしながら、「労働時間」に関する規定と「深夜業」に関する規定は、別物として定められているため、「深夜業」に関する規定については、41条該当者に対しても他の労働者と同じく適用されます。

よって、育児介護休業法においても「育児期間中の深夜業免除」の規定については、労働基準法41条該当者に適用することとしているというわけです。

ちなみに・・・

  • 子を養育する労働者へ対する「所定時間外労働免除」「育児短時間勤務制度」の各措置
  • 小学校入学前の子を養育する労働者へ対する「法定外残業時間数の制限」措置

については、41条該当者へ対する適用はありません。

この違いについて、間違えないよう、しっかりと押さえておきましょう。

③申出があった場合のみ深夜業が免除となる


続いて、3つ目のポイント・・・

本人から申出があった場合のみ深夜業免除の規定が適用されること

についてです。

この深夜業免除ルールは、小学校就学前の子を養育する労働者本人から申出があった場合のみ、一定の条件を満たしている場合に事業主が適用しなければならないルールとなっています。

なお、労働者本人が、この申出を行う場合には、次項で説明する4つ目のポイントに従う必要があることが育児介護休業法に定められています。

あわせて社内周知しておきましょう。

ちなみに、この申出がなかった場合には、小学校就学前の子を養育する労働者に対して深夜業をさせても問題はありません。

④1カ月前までに「1カ月~6か月以内の期間」を指定して申出が必要


それでは4つ目のポイント・・・

申出は、免除開始の1カ月前までに「1カ月から6か月以内の期間」を指定して事業主へ申出しなければならないこと

についてです。

この深夜業免除については、対象労働者が就労日毎に申出できるものではなく、あらかじめ前もって「期間を定めて」申出しておかなければならないルールになっています。

なお、この申出自体は何回でも行うことができます。

これは、あくまでも育児介護休業法上のルールですので、就業規則等に、より柔軟な運用規定を設けることも可能ですが、法令どおり運用するのであれば、この申出ルールに則って、事前にしっかり社内周知しておくべきでしょう。

ちなみに・・・

  • 3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前)の子を養育する労働者へ対する「所定時間外労働(残業)免除」
  • 小学校就学前の子を養育する労働者へ対する「法定外残業時間制限」

の各措置を申出する場合は、 1カ月前までに「1カ月から1年以内の期間」を指定して申出しなければならないこととされています。

対して、深夜業免除の申出については、1カ月前までに「1カ月から6か月以内の期間」 を指定して申出しなければならないこととされています。

この違いについても注意しておきましょう。

事業の正常な運営を妨げる場合は申出を拒否できる


続きまして5つ目のポイント・・・

事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は申出を拒否できること

についてです。

事業主は、この場合、対象労働者からの申出を拒否することができるわけですが、この「事業の正常な運営を妨げる場合」とは?いったいどのようなケースを指すのでしょうか?

育児介護休業法では、以下のとおり定義していますので、必ず確認しておきましょう。

事業の正常な運営を妨げる場合とは


事業の正常な運営を妨げる場合に該当するか否かは・・・

その労働者の所属する事業場を基準として、

担当する作業の内容・作業の忙しさ・代行する者を配置する難しさ等を考慮して客観的に判断すべきもの

とされています。

事業主は、

その労働者が請求どおりに深夜業の免除を受けることができるよう、通常考えられる相当の努力をすべき

とされており、単に事業運営を行う上で、深夜労働が必要だという理由だけでは拒むことはできませんので注意が必要です。

労使協定により深夜業免除の対象外とする者を定めることはできない


それでは最後に6つ目のポイント・・・

労使協定により深夜業免除の対象外とする者を定めることはできないこと

についてです。

この記事の冒頭でも解説したとおり、小学校就学前の子を養育する労働者に対する「深夜業免除ルール」では、あらかじめ適用対象とならない者が明確となっており、任意で適用外とする者を労使協定で追加することはできません。


なお、あらかじめ本免除措置の対象から除外されている者は以下のとおりです。

今一度おさらいしておきましょう。

  • 日雇い労働者
  • 入社1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 所定労働時間の全部が深夜にある労働者
  • 16歳以上の同居家族が一定の状況(*)にある労働者

【一定の状況(*)】

  • 月に4日以上深夜に就業していない
  • 心身の状況が子を保育できる状態にある
  • 6週間(多胎妊娠14週間)以内に出産予定でない
  • 産後8週間以内でない

まとめ

今回は、小学校就学前の子を養育する労働者に対する深夜業免除ルールについて6つのポイントをふまえて解説してきました。

単純に「小学校就学前の子がいれば深夜業が免除される」ということではなく、「子の面倒を見られる状況にある16歳以上の同居家族がいない場合」に限って免除を受けられること等、6つのポイントをしっかりマスターしておきましょう。

手続きを進める際には、この記事の必要な箇所を再読し、ぜひ活用していただければと思います。

それでは最後に、子を養育する労働者に対する、他の就業制限ルールとの相違点を比較できるよう、一覧表を添付させていただきます。

制度ごとの違いを確認する際にお役立て下さい。

【子を養育する労働者に対する就業制限ルール一覧表】

養育する子の年齢事業の正常な運営を妨げる場合却下41条労働者労使協定除外もともと除外
①残業禁止★
所定労働時間超
3歳まで(令和7年4月1日以降は小学校就学前まで)OK対象外・入社1年未満
・1週2日以下
・日雇
②育児短時間勤務 3歳まで NG対象外・入社1年未満
・1週2日以下
・時短不可業務
(代替措置が必要)
・日雇
・1日6時間以下
③残業制限★
法定労働時間超
年150H・月24Hまで
小学校就学前までOK対象外なし・日雇
・入社1年未満
・1週2日以下
④深夜業制限★小学校就学前までOK対象なし・日雇
・入社1年未満
・1週2日以下
・深夜労働者
・同居人が養育可能
⑤子の看護(等)休暇小学校就学前(令和7年4月1日以降は小学校3年生修了前)までNG対象・入社6か月未満(令和7年4月1日以降は除外不可)
・1週2日以下
・時間単位の取得不可業務を定められる
日雇
①③④の申出を希望する労働者は、1カ月前までに1カ月間から1年(④深夜業は6カ月)以内の期間を指定して事前に事業主へ申出する必要あり
上記以外に、1歳未満の生児を養育する女性労働者は、1日2回30分ずつ休憩時間を請求できる(勤務時間が4時間以内の場合は1日1回)

子育て中の労働者に対する、他の就業制限ルールについても知りたい方は以下の記事をご参照下さい。

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