【育児期間中の残業免除】育児中労働者の時間外労働免除について解説!

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この記事では、育児中の労働者に対する所定時間外労働免除ルールについて6つのポイントをふまえ解説しています。

<この記事はこんな方におすすめです>

✅育児中の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方

✅育児中の社員の方

✅産休・育休予定の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方

✅これから産休・育休の利用を考えている社員の方

はじめに

育児介護休業法では、3歳未満の子(令和7年4月1日以降は小学校就学前までの子に改定)を養育する労働者から、あらかじめ申出がある場合、事業主は一定の期間、所定労働時間を超える残業を免除しなければならないこととしています。

このルールは、産休・育休から職場復帰した労働者だけでなく、該当する全ての労働者を対象として適用され、事業主は企業規模の大小に関わらず対応しなければなりません。

この記事では、上記のルールについて6つのポイントをふまえて解説していきます。

育児中、あるいは産休・育休予定の社員がいる会社の経営者・労務担当者の方には、是非ともこの記事をご活用いただき、社内の体制を整えていただければと思います。

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育児中労働者に対する残業免除ルール

それではまず、子育て中の労働者への残業免除ルールがどのように規定されているか見ていきましょう。

【免除ルールの内容】

本人より請求があった場合・・・

3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前までに改定)の子を養育するほぼ全ての労働者に対し、所定労働時間を超えて残業をさせてはなりません。

ただし・・・

事業の正常な運営を妨げる場合、事業主はこの請求を拒否することができます。

また・・・

労使協定を締結することにより、免除対象外とする者を定めることができます。


なお、日雇労働者、労働基準法41条該当者には、このルールは適用されません。

(労働基準法41条該当者とは?)

  • 管理監督者であって、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者
  • 農水産業従事者(林業を除く)
  • 監視など断続的労働従事者で労働基準監督署の許可を受けた者

のことを指します。


この制度の適用を受けたことを理由として、解雇・雇止め・減給等、不利益な取扱いを行うことは育児・介護休業法で固く禁止されています。

育児・介護休業法には罰則こそ定められてはおりませんが、違反が明らかとなった場合には、厚生労働省(都道府県労働局)の是正勧告が行われることとなり、勧告に従わない場合は企業名が公表されることとなります。

企業名が公表されると、ハローワークでの求人が受理されなくなる等の大きなペナルティーにつながる可能性があります。

また、当局から求められた報告を行わない場合や、虚偽報告を行った場合は20万円以下の過料に処されます。

この措置の対象は令和7年4月1日以降「小学校就学前の子」を養育する労働者にまで拡大されます

この「所定時間外労働の制限措置」については「3歳未満の子」を養育する労働者から「小学校就学前の子」を養育する労働者へと適用対象となる労働者を拡大することが決定しており、令和7年4月1日から改定施行されます。

残業免除ルールの6つのポイント

それでは次に、このルールのポイントについて見ていきましょう。

このルールのポイントは・・・

  1. 労使協定により免除対象外とする者を定められること
  2. 3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前)の子を養育するほぼ全ての労働者を対象としていること
  3. 免除となる残業は、所定労働時間を超えるものであること
  4. 本人から申出があった場合のみ免除とすること
  5. 申出する場合は、制限開始の1カ月前までに「1カ月から1年以内の期間」を指定して事業主へ申出しなければならないこと
  6. 事業の正常な運営を妨げる場合、事業主は申出を拒否できること

の6つに分かれます。

それでは1つずつ見ていきましょう。

労使協定により免除対象外とする者を定められる


まず、1つ目のポイント・・・

労使協定により免除対象外とする者を定められること

についてです。

労使協定により免除対象外とすることができる労働者は、あらかじめ育児介護休業法によって、以下のとおり定められています。

  • 入社1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者

入社したての労働者や週あたりの労働日数が2日以下と少ない労働者は対象から除外することが認められています。

ちなみに労使協定を締結しても、配偶者が専業主婦(夫)であることや、育休中であること等を理由に、免除の対象から外すことはできませんのでご注意下さい。

3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前)の子を養育するほぼ全ての労働者を対象としている


次に2つ目のポイント・・・

3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前)の子を養育するほぼ全ての労働者*を対象としていること

についてです。

このルールは、産休・育休取得の有無や、女性労働者か?男性労働者か?は問わず、「3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前)の子を養育するほぼ全ての労働者*」を対象としている点に注意が必要です。

*日雇い労働者、労働基準法41条該当者は除きます

ちなみに、この残業免除ルールとよく似たものとして、「小学校就学前の子を養育する労働者」を対象として「残業時間の上限を1カ月24時間、1年150時間までとするルール」もありますので混同しないようにしておきましょう。

③免除となるのは「所定労働時間」を超える残業


続いて、3つ目のポイント・・・

免除となる残業は、所定労働時間を超えるものであること

についてです。

ここでいう所定労働時間とは・・・

各事業所毎に、就業規則等で事前に決定された労働時間のこと

を指します。

1日8時間、1週40時間といった法定労働時間とは異なりますので注意して下さい。

ちなみに、前章で出てきました小学校就学前の子を養育する労働者に対する残業時間数の制限措置」における「残業」は、労働基準法に定められている法定労働時間」を超える時間外労働のことを指しますので違いに注意しておきましょう。

④申出があった場合のみ免除とする


続いて、4つ目のポイント・・・

本人から申出があった場合のみ免除とすべきこと

についてです。

この残業免除は、3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前)の子を養育する労働者本人から申出があった場合にのみ事業主が適用しなければならないルールとなっています。

なお、労働者本人が、この申出を行う場合には、次項で説明する5つ目のポイントに従う必要があることが育児介護休業法に定められています。

あわせて社内周知しておきましょう。

ちなみに、この申出がなかった場合には、所定労働時間を超える残業を行わせても問題ありません。

⑤1カ月前までに「1カ月~1年以内の期間」を指定して申出が必要


それでは5つ目のポイント・・・

申出は、制限開始の1カ月前までに「1カ月から1年以内の期間」を指定して事業主へ申出しなければならないこと

についてです。

この残業免除については、対象労働者が就労日毎に申出できるものではなく、あらかじめ前もって「期間を定めて」申出しておかなければならないルールになっています。

なお、この申出自体は何回でも行うことができます。

これは、あくまでも育児介護休業法上のルールですので、就業規則等に、より柔軟な運用規定を設けることも可能ですが、法令どおり運用するのであれば、この申出ルールについて、事前にしっかり社内周知しておくべきでしょう。

事業の正常な運営を妨げる場合は申出を拒否できる


それでは最後に6つ目のポイント・・・

事業の正常な運営を妨げる場合には、事業主は申出を拒否できること

についてです。

事業主は、この場合、対象労働者からの申出を拒否することができるわけですが、この「事業の正常な運営を妨げる場合」とは?いったいどのようなケースを指すのでしょうか?

育児介護休業法では、以下のとおり定義していますので、必ず確認しておきましょう。

事業の正常な運営を妨げる場合とは


事業の正常な運営を妨げる場合に該当するか否かは・・・

その労働者の所属する事業場を基準として、

担当する作業の内容・作業の忙しさ・代行する者を配置する難しさ等を考慮して客観的に判断すべきもの

とされています。

事業主は、

その労働者が請求どおりに残業免除を受けることができるよう、通常考えられる相当の努力をすべき

とされており、単に所定外残業が事業運営を行う上で必要だという理由だけでは拒むことはできませんので注意が必要です。

まとめ

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今回は、3歳未満(令和7年4月1日以降は小学校就学前)の子を養育する労働者に対する所定時間外労働免除ルールについて6つのポイントをふまえて解説してきました。

単純に「残業免除を申出可能」ということではなく、あらかじめ期間を指定して申出しなければならない等、6つのポイントをしっかりマスターしておきましょう。

手続きを進める際には、この記事の必要な箇所を再読し、ぜひ活用していただければと思います。

それでは最後に、子を養育する労働者に対する、他の就業制限ルールとの相違点を比較できるよう、一覧表を添付させていただきます。

制度ごとの違いを確認する際にお役立て下さい。

【子を養育する労働者に対する就業制限ルール一覧表】

養育する子の年齢事業の正常な運営を妨げる場合却下41条労働者労使協定除外もともと除外
①残業禁止★
所定労働時間超
3歳まで(令和7年4月1日以降は小学校就学前まで)OK対象外・入社1年未満
・1週2日以下
・日雇
②育児短時間勤務 3歳まで NG対象外・入社1年未満
・1週2日以下
・時短不可業務
(代替措置が必要)
・日雇
・1日6時間以下
③残業制限★
法定労働時間超
年150H・月24Hまで
小学校就学前までOK対象外なし・日雇
・入社1年未満
・1週2日以下
④深夜業制限★小学校就学前までOK対象なし・日雇
・入社1年未満
・1週2日以下
・深夜労働者
・同居人が養育可能
⑤子の看護(等)休暇小学校就学前(令和7年4月1日以降は小学校3年生修了前)までNG対象・入社6か月未満(令和7年4月1日以降は除外不可)
・1週2日以下
・時間単位の取得不可業務を定められる
日雇
①③④の申出を希望する労働者は、1カ月前までに1カ月間から1年(④深夜業は6カ月)以内の期間を指定して事前に事業主へ申出する必要あり
上記以外に、1歳未満の生児を養育する女性労働者は、1日2回30分ずつ休憩時間を請求できる(勤務時間が4時間以内の場合は1日1回)

子育て中の労働者に対する、他の就業制限ルールについても知りたい方は以下の記事をご参照下さい。

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