迷わない⑤|会社の産休→育休手続リストとスケジュール(育休開始後)

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この記事は、産休・育休手続に不慣れな企業担当者の方でも迷わず対処できるよう、全7回に渡り各手続をスケジューリングし、ナビゲーション形式で解説しています。

<この記事はこのような方におすすめです>

初めて産休・育休手続きをする企業担当者の方

✅産休に続けて育休を取得する場合の手続きについて知っておきたい企業経営者の方

産休に続けて育休を取得する場合の手続きについておさらいしたい方

はじめに

「産休・育休」取得実績が乏しい企業の経営者・労務担当者の方は、社員から申出を受けた際、「何をすればよいのか?」すぐに分からず困ってしまうことがあるのではないでしょうか?

「産前産後休業」および「育児休業」制度の内容は多岐に渡り、行うべき手続きも非常に多いため、常にルールや手続き方法をインプットしておくのは、あまり現実的ではありません。

このため、手続きが必要となった際に「どのような手続きをすべきか?」と「いつまでにそれを行うべきか?」を順序立てて確認できる記事を執筆しました。

この記事では、「産前産後休業」および「育児休業」の手続きをリストアップし、スケジュール順にそのポイントを全7回に渡り解説していきます。


他の回をご覧になりたい方はこちらをご参照下さい。↓

この記事を活用するにあたっての注意点

この記事では、手続き時の「必要書類」について「書式」や「書き方」の解説はしておりません。

具体的な「必要書類」や「書き方」については、「日本年金機構」「全国健康保険協会」及び「ハローワーク」ページへの「リンク」を貼らせていただきましたので、そちらをご参照下さい。

また、船員保険に加入する方、および共済組合等に加入する公務員の方は除いて解説しておりますのでご了承下さい。

なお、この記事の解説対象となる方は、会社を通じて・・・

  • 健康保険(「全国健康保険協会(協会けんぽ)」又は「健康保険組合」)
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険

に加入している社員の方(使用人兼務役員を含む)となります。

上記に加入せず・・・

  • 国民健康保険(国民健康保険組合を含む)
  • 国民年金

  に加入している社員の方

  • 雇用保険に加入していない会社役員の方

は、この記事の解説対象となりませんのでご注意下さい。

また、雇用保険に加入している社員の方であっても・・・

  • 産休開始日前2年間の合計加入月数が12か月に満たない方(*1)
  • 退職予定の方
  • 育児介護休業法で認める理由以外で「育児の為の休業」を取得した方(*2)

については、雇用保険から「育児休業給付金」を受給することができませんのでご注意下さい。

(*1)(*2)詳細については、以下の記事に記載しております。

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  4. 出産手当金(*)・育休給付金・社会保険料免除等、産休・育休に必要な全ての申請(手続代行)
  5. 社会保険料引き落しの停止や地方税徴収方法変更等、給与支払事務の変更手続
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育休開始後の手続き

この記事では・・・

  • 従業員の方が出産に伴い「産前産後休業」を取得してから
  • 子が1歳になるまで「育児休業」を続けて取得する

前提で、会社側の担当者が行うべき手続きをリストアップし、スケジュールに沿ってポイントを解説していきます。

今回は、第5回として「産前産後休業」を終了し、「育児休業」を開始した後の「手続き手順とポイント」について解説していきます。

第5回:育休開始後 手続リスト&スケジュール1から4

1)育児休業等取得者申出書(社会保険料免除)の申請

産休が終了し、育休が開始しましたら、まずは「育休期間中」の「社会保険料免除」申請手続きを行います。

育休期間中の社会保険料免除を受けるためには、日本年金機構(健康保険組合加入企業の場合は当該組合)に対し、忘れずに、再度「育児休業等取得者申出書」を提出する必要があります。



【社会保険料免除の開始月と終了月】

「育児休業」期間も「産前産後休業」期間と同じく・・・

社会保険料が免除となるのは、「休業を開始した月」~「休業終了日の翌日が属する月の前月」まで

と、月単位での免除となります。

よって、 「休業を終了する月」は、原則、月末日まで休業していないと免除の対象になりません。

ただし、「産休」とは異なり「育休」については・・・

同一月内に「開始日」と「終了日」がある場合に限り、「月末日」に休業していなくても「14日以上」休業していれば免除となります

ので注意しておきましょう。

なお、ここでいう「社会保険料」とは、「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」の3つを指します。

「雇用保険料」「労災保険料」は含みませんので、あわせて確認しておきましょう。


【育休中は「賞与」からの社会保険料免除に注意】

また、「育休」中の社会保険料免除でもう一つ注意しておくべき点は・・・

賞与からの保険料については「1カ月を超えて育休を取得した場合」でなければ免除の対象とならない

点です。

この規定は「産休」中の社会保険料免除ルールにはありませんので違いをしっかり押さえておきましょう。


【子が3歳になるまでの「準育休」期間中も社会保険料免除となる】

育休中の「社会保険料免除」は、育児介護休業法に基づく「子が1歳になるまでの育休(*)」終了後も・・・

会社が独自に、子が3歳になるまでの「育休に準ずる休業」を認めた場合も対象となります。

(*)保育園等に入園できず待機児童となる等、特別の事情がある場合は最長2歳まで延長可

いっぽう、上記の期間に対して「育児休業給付金」は支給されませんので、混同しないよう注意しておきましょう。

ちなみに、3歳到達も休業する場合については、上記「社会保険料免除」の規定は適用されません。

この場合は、賃金を支払わなくても「本人」のみならず、「会社」も折半で保険料を負担しなければならないこととなります。


【事業主・役員等は育休中「社会保険料免除」の対象外】

事業主・役員等 であっても「出産のため」休業した場合は、健康保険法の「産前産後休業」ルールに則り、社会保険料免除を受けることができます。

その一方、事業主・役員等は「育児のため」に休業した場合は、社会保険料免除を受けることはできません。

この違いにも注意しておきましょう。


【育児休業等取得者申出書の提出】

育休期間中の社会保険料免除を受けるためには、日本年金機構に対し、「育児休業等取得者申出書」の提出が必要です。

この申出を行うことにより、「会社支払い分」・「休業する従業員の本人支払い分」ともに保険料が免除されます。

産前産後休業終了後、引き続き育児休業を取得する場合も・・・

育休期間中に改めて、この申出書の提出を行わないと保険料は免除されません

ので注意して下さい。

なお、「育休期間」については「産前産後休業期間」のように、「出産日」が確定しないと「開始日」と「終了日」が決まらないというようなことはありません。

また、「産休」に引き続き「育休」を取得する場合は、自動的に「産後休業終了日の翌日」が「育休開始日」となります。

「育児休業等取得者申出書」の提出は「育休期間中」に行えばよいこととなっていますが、「育休期間」が始まりましたら、忘れないよう速やかに申請手続きを行っておきましょう。


【申請後、免除承認までの間の社会保険料納入額について】

申請が遅れた場合など、「育休開始日」から日数を置いて提出した場合には・・・

「本来免除となるべき社会保険料」について、免除の手続きが間に合わず、日本年金機構から納入の告知が行われてしまう場合があります。

この場合、いったんは「本来免除となるべき保険料額」を含めて納入することとなりますが、その翌月以降の告知額が減額調整されますので心配する必要はありません。

【育休終了日を変更する場合の届出】

  • 予定よりも早く「育休」を終了することとなった場合

は、保険料免除期間「終了」の届出をする必要があります。

  • 予定よりも「育休」を延長(繰り下げ)することとなった場合

は、変更後の期間を記載した「育児休業取得者申出書」を再提出しなければなりません。

なお、これらの申請は、原則、育休の取得期間中に提出しなければならないこととなっていますが、実務上は、育休終了日から1カ月以内であれば受付してもらうことができます。


【社会保険料免除期間中の将来の年金額】

「社会保険料免除期間中」も、「休業直前の標準報酬月額等級」に基づき計算した社会保険料を納付したものとみなされます。

このため、将来受取る年金額が減額される心配はありません。

育休中の社会保険料免除に関する「手続書類」および「書き方」については、日本年金機構ページへのリンクを貼らせていただきます。

従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業等を取得・延長したときの手続き|日本年金機構 (nenkin.go.jp)

注)健康保険組合(組合健保)にご加入の場合は、各「組合健保」の手続きルールに従って下さい。

なお、育休中の社会保険料免除について、この記事に記載がない内容について知りたい方は、以下の記事もご参照下さい。

2)出産手当金の支給申請

第5回:育休開始後 手続リスト&スケジュール1から2

「産休期間」終了後、最初に到来する「賃金締切り日」が経過しましたら「出産手当金」の支給申請を行います。(*)

(*)この記事では「産休終了後1回」にまとめて申請する前提で解説しています。


【支給額】

出産手当金は、「産前産後休業」の「取得日数分」給付が行われます。

ちなみに支給額についておさらいしておきますと・・・

産休開始日」以前における、連続した12カ月間の各月の「標準報酬月額」平均額 ÷ 30日分 × 2/3

が支給「日額」となり、「全国健康保険協会」加入後12カ月に満たない場合は・・・

  • 12カ月に満たない「各月」を合計して算定した「標準報酬月額」平均額
  • 全国健康保険協会が別途発表する「全加入者」の「標準報酬月額」平均額

のうち、いずれか小さい額 ÷30日分 × 2/3が支給「日額」となります。

なお、「健康保険組合」加入企業の場合は、各健保組合の規定に従い支給額が決定され、「増額給付」を受けられる場合もあります。

ちなみに、出産手当金は「土日祝日」など、「会社休日」分も含め、暦日ベースで支給されます。


【支給対象となる期間】

出産「予定日」と実際の「出産日」が異なった場合、「産前休業期間」は当初予定の期間より短くなったり長くなったりします。

これにしたがい「出産手当金の支給日数」も変動することとなります。


【予定日より前に出産した場合の取扱い】

「出産予定日」より前に出産した場合は、「労働基準法で定める産前休業期間」は短くなります。

いっぽう、「健康保険法で定める産前休業期間」は・・・

「実際の出産日」から数えて42日前(多胎妊娠98日前)までの間に・・・

妊娠・出産のため労務に服さなかった」年次有給休暇や所定休日、欠勤日がある場合

については

その日についても産前休業期間に含めてよい

ことになっています。

つまり、「出産予定日」より早まった日数を「産休開始日」から繰上げた結果、その中に妊娠・出産のため労務に服さなかった「年次有給休暇」や「所定休日」「欠勤日」が含まれる場合は、その日についても「産前休業期間」に含めることができます。

よくあるのは、労働基準法で定められた「産前休業期間(出産予定日の42日〔多胎98日〕前から)」よりも早く産休入りしたい場合に、「所定休日」と「年次有給休暇」を「産休開始日」の前にくっつけているケースです。

このような場合は、繰り上げた日を「産休開始日」として「出産手当金」の支給申請を行うことができます。

ただし、このような場合も「有給休暇を取得した日」については・・・

「出産手当金」より大きい額の「給与」が支払われている場合、「出産手当金」は支給されません。

また、

「出産手当金」より小さい額の「給与」が支払われている場合、「出産手当金」は差額のみ支給となります。


【申請方法】

「出産手当金支給申請書」を勤務先の会社を管轄する「全国健康保険協会支部」あて(*)に申請します。

(*)健康保険組合加入の場合は当該組合へ提出します。

(出産証明の受入)

この申請を行うためには、出産手当金支給申請書の所定欄に、出産したことの証明が必要です。

この証明は、「出産する従業員の方本人」が「担当医師」あるいは「助産師」に記入を依頼するものです。

会社は「出産証明済」申請書とともに、所定欄に「休業期間中に対する給与支払い状況」を記載・証明し、全国健康保険協会支部(あるいは健康保険組合)へ申請します。


【支給される時期】

出産手当金の支給方法は、本人が届出した指定銀行口座への一括振込入金です。

申請後、入金されるまで1カ月程度は余裕を見ておいたほうがよいでしょう。


◆「出産手当金」申請時の手続き書類については、全国健康保険協会ページへのリンクを貼らせていただきます。

出産で会社を休んだとき | こんな時に健保 | 全国健康保険協会 (kyoukaikenpo.or.jp)

注)健康保険組合(組合健保)にご加入の場合は、各「組合健保」の手続きルールに従って下さい。


なお、「出産手当金」について、この記事に記載がない内容については、以下の記事をご参照下さい。

3)育休中の給付金(育児休業給付金)制度について再確認

第5回:育休開始後 手続リスト&スケジュール1から3


育休期間の開始にあたり・・・

〔第2回〕産休開始前(後半) / 4)育休中の給付金(育児休業給付金)制度について事前確認

のところで確認した「育児休業給付金」の制度内容について今一度把握しておきます。

以下、〔第2回〕と同一の記事を再度掲載しておきます。

先を急ぐ方は、読み飛ばし、次の章へお進み下さい。


【育児休業給付金とは】

育休期間中については「育児休業給付金」が雇用保険から支給されます。

育休は2回に分割して取得することができますが、それぞれの期間について「育児休業給付金」の支給申請を行うことができます。

ただし、退職予定の方や、その他支給要件を満たしていない方には支給されませんので注意が必要です。


【支給要件】

雇用保険に加入しており・・・

「育休開始日」の前日から「1カ月毎」に「24回(2年間)」さかのぼった各月=完全月(*1)の中に・・・

「賃金支払いの基礎となった日数」が「11日以上」または「80時間以上」ある月が「12カ月以上」あること(*2)

が支給要件となります。

(*1)
賃金支払いの基礎となった日数が11日以上、時間数が80時間以上あったとしても算定期間が1か月に満たない場合(入社直後等)は完全月として数えませんのでご注意下さい。

(*2)
産前産後休業(産休)から引続き育休を取得した場合で、育休開始日の前日からさかのぼり判定した場合に支給要件を満たさない場合は、産休開始日の前日からさかのぼり判定することができます。

また、育休開始日前2年間に、「疾病・負傷等やむを得ない理由」により引き続き30日以上「賃金の支払いを受けることができなかった期間」がある場合は、その期間を2年間に加算し、さかのぼった範囲内(合計4年間が上限)で判定することができます。


【支給対象外となる方】

  • 事業主・会社役員など「雇用保険に加入していない」方
  • 退職予定の方
  • 育児介護休業法で認める理由以外で「育児の為の休業」を取得した方

 上記に該当する方は、育児休業給付金を受給することができません。


【支給額について】


育休開始から180日間の月額支給額は・・・

育休開始前(*)6か月間の賃金総額 ÷ 180日 × 30日(* )× 67%
<支給上限額315,369円下限額57,667円(令和6年8月1日~)>

となります。

(*)産前産後休業に引続き育児休業を取得する場合は、産前休業開始前とします。

(*)最終回の支給月については、上記「30日」を「実日数」に置き換えて計算します。(支給上限・下限額は日割り計算となります)

上記の「育休開始前6か月間の賃金総額」とは、休業開始日直前にある「賃金締切り期間」のうち・・・

「賃金支払い基礎日数が11日以上」もしくは「賃金支払い基礎となった時間数が80時間以上」を満たす期間(=完全賃金月)

のみを集計した、直近6カ月分の賃金総額を指します。

次に、育休開始から181日目以降の月額支給額は・・・

育休開始前6カ月間の賃金総額 ÷ 180日 × 30日 × 50% 
<支給上限額:235,350円・下限43,035円(令和6年8月1日~)>

となっています。


【支給期間について】

「育児休業給付金」は、最長で、子の1歳誕生日の「前々日」まで支給されます。

「育休」期間は、最長で、子の誕生日「日」までと定められているのに対し「1日短く」定められています。

子が待機児童となり保育園等に入れない場合など「特別な事情」がある場合は、「1歳6か月となる日の前日」まで育休を延長できます。

それでも「特別な事情」が解消しない場合は、最長で「2歳誕生日の前日」まで育休を延長できます。

上記の延長が行われた場合は、給付金の支給期間についても、上記の各年齢となる日の前々日まで延長されます。

ちなみに、上記「特別な事情」には、「育休対象児」を「養育する予定であった配偶者等」が死亡・けが・病気・離婚等、急遽やむを得ない理由によって「育児をすることができなくなった場合」等を含みます。

なお、「子の1歳誕生日前日」より前に育休を終了する場合は、「育休終了日」までの日数分しか育休給付金は支給されません。


【育児休業給付金の支給調整】


(育休給付金が支払われない場合)

「育休開始日」から起算した「1カ月毎」の「各支給単位期間」において・・・

10日間」かつ「80時間」を超えて就労した場合 または「賃金月額*」の80%以上の給与が支払われた場合

については給付が行われませんのでご注意下さい。

なお、ここでいう給与とは「育休期間中の就労に対して支払われた給与のみ」の合計額を指します。

<「賃金月額」*とは>

「育休開始前」6か月間の賃金総額 ÷ 180日 × 30日(終了月は実日数)

のことを指します。

上記金額に67%(あるいは50%)を乗じた金額が「育休給付金」の支給額となりますので、「掛け目を乗じる前の6か月賃金平均額」に相当します。

なお、「賃金月額」には以下のとおり「上限額」と「下限額」が定められています。

上限額:470,700円 / 下限額:86,070円(令和6年8月1日~)


(育休給付金が減額支給される場合)

「育休開始日」から起算した「1カ月毎」の「各支給単位期間」において・・・

支払った給与額が「賃金月額」の80%未満の場合、「賃金月額の80% ー 給与支給額」に減額のうえ支給されます。

ただし、「育休開始日から180日」までの間は、支払われた給与額が「賃金月額80% と 支給率67%の差分」である「13%」以下に収まっていれば、合計しても「80%」を超えないため減額の対象となりません。

同様の理由で「育休開始日から181日」以降は、支払われた給与額が「賃金月額80% と 支給率50%の差分」である「30%」以下に収まっていれば減額の対象となりません。

なお、ここでいう給与額とは、育休期間中の就労に対して支払われた給与のみの合計額を指します。


【育休期間中やむをえず退職することとなった場合について】

「育休期間」中に、やむをえず退職することとなった場合については・・・

「育休開始日」から起算した「1カ月毎の各支給単位期間」において、「退職日の属する期間」の1つ前の「支給単位期間」まで

しか支給は行われません。

なお、育児休業給付金について、この記事に記載がない内容について知りたい方は、以下の記事をあわせてご参照下さい。

4)育児休業給付金の支給申請

第5回:育休開始後 手続リスト&スケジュール1から4

育児休業給付金の支給申請手続きは、原則「勤務先の会社」を通じ、「会社」の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)に対して行うことになっています。


【支給申請スケジュール】

「育休開始日」から起算して「1カ月毎」に区切った各期間である「支給単位期間」毎に支給申請を行います。

初回給付金の支給申請は・・・

育休開始から「2カ月」経過後(2支給単位期間経過後)に行います。

以後「2支給単位期間」毎に申請を行っていきます。

ただし、最終回の「支給単位期間」は「1カ月間」ではなく「実日数」となります。

なお、「休業する従業員の方本人」が「勤務先の会社」を介さず、直接ハローワークへ支給申請することも例外として認められています。

この場合は「1支給単位期間毎」に申請することが可能です。


(2回に分割して育休を取得する場合)

育休を2回に分けて取得する場合は、「それぞれの休業期間」に対して「上記のスケジュール」で申請を行っていきます。


(支給申請期限)

  • 初回給付金の支給申請期限は、「育休開始日」から「4カ月を経過する日」の属する月の末日まで
  • 2回目以降の支給申請期限は、「支給単位期間」の初日から 「4カ月を経過する日」の属する月の末日まで

となっています。


(入金のタイミング)

申請後、銀行口座入金までは「1カ月程度」みておくのが無難です。

よって、「早急に」手続きした場合も、「入金」されるのは・・・

「支給単位期間」が経過するまでの「2カ月間(*)」を含め、「3か月程度後」となります。

(*)「休業する方本人」が直接ハローワークへ申請する場合は「1カ月間」に短縮できます。

「支給申請期限」は更に長く設定されていますので、「提出が遅くなった」場合は、入金も更に「後ろ倒し」となります。

この点は「休業する従業員の方本人」へ事前にしっかりと伝えておきましょう。


【初回給付金の支給申請手続き】


申請の際に必要となる書類は以下のとおりです。


(①雇用保険被保険者 休業開始時 賃金月額証明書)

「育休給付金」の「支給額算定」を行うにあたり必要となる「休業前賃金・手当」の支払い実績を報告するため提出します。

ハローワーク窓口で申請する場合は、「賃金台帳」「出勤簿(タイムカード)」等の確認書類を持参します。

なお、「育休」を2回に分けて取得する場合は、「1回目の育休」取得時に提出していれば、「2回目の育休」の際に提出する必要はありません。

ちなみに、この届出は、後述②「育児休業給付受給資格確認票 兼 初回給付金支給申請書」と同時に提出することとなっています。

よって、提出期限は「育休開始日」から「4カ月を経過する日」の属する月の月末までとなります。


(② 育児休業給付受給資格確認票 兼 初回給付金支給申請書)

初回の「育休給付金」支給申請時には、「支給要件をクリアしているか?」の確認を同時に行う仕組みとなっています。

初回「支給単位期間中」の「就労実績」「賃金支払い実績」についても確認のため、あわせて報告を行います。

ハローワーク窓口で申請する場合は、「母子健康手帳のコピー」等、育児中であることの証明とともに 「賃金台帳」「出勤簿(タイムカード)」等の確認書類 を持参します。

なお・・・

初回の「育休給付金」支給申請とは切り離して、「受給資格の確認」のみを先行して申請(*)することも可能です。

この場合も、同一の書式を用いて申請を行います。

(*)改めて、後述の「育児休業給付金支給申請書」を提出し、「初回給付金」の支給を申請する必要があります


ちなみに、「育休」を2回に分けて取得する場合は・・・

「1回目の育休」取得時に「受給資格の確認」が行われていれば、「2回目の育休」取得時に再確認の手続きは行われません。

しかしながら、「2回目の育休」の初回申請を行う際にも・・・

書式は「 育児休業給付受給資格確認票 兼 初回給付金支給申請書」を用いて申請しなければなりません

ので注意しておきましょう。


【3カ月目以後の給付金支給申請】


(育児休業給付金支給申請書)

「3カ月目」以後の「支給単位期間」分を受給するための申請書はこちらとなります。

該当する「支給単位期間中」に「就労実績」「賃金支払い実績」等があれば、あわせて報告を行います。

「初回の支給申請」を行った後、およそ「2カ月」経過後にこの申請を行い、以降も同様のスケジュールで「2支給単位期間」毎に申請を行っていきます。


【パパママ育休プラス制度を利用する場合】

「パパママ育休プラス制度」を利用すれば、最長で「子が1歳2か月になる日の前日」まで、育休期間を延長することができます。

この場合、「育休給付金」を受給できる期間も、「子が1歳2か月になる日の前々日」まで延長となります。

<パパママ育休プラス制度>

「パパ・ママ育休プラス制度」を利用する場合は、育休給付金の最終回申請(子の「1歳誕生日」前々日までの期間を含む申請)までに・・・

  • 配偶者の「育児休業」取得の有無
  • 配偶者の「雇用保険被保険者番号」(雇用保険に加入している場合のみ)

を「育児休業給付金支給申請書」に設けられている所定欄へ記入する必要があります。

なお、申請の際には、以下2点の「証明書類」提出が必要となります。

  1. 世帯全体について記載された「住民票」の写し(事実婚の場合は、住民票に代えて「民生委員の証明書」)
  2. 配偶者の勤務先が発行した「育児休業取扱通知書」の写し(無い場合は「配偶者が作成した疎明書」)

~1.は「配偶者と同居していること」、2.は「配偶者が育休を取得していること」を証明するために提出します。

なお、2.は「育児休業給付金支給申請書」の所定欄に「配偶者の雇用保険被保険者番号」を記載した場合は、提出不要です。


【特別な事情により育休期間を1歳以降に延長する場合】

子が保育園等に入園できず「待機児童」になった場合など「特別の事情」がある場合は、育休期間を1歳以降に延長することができます。

この延長を行う場合は、「育児休業給付金」についても・・・

  • 1歳誕生日前々日」から「1歳6か月前々日」までの範囲内における延長
  • 1歳6か月前々日」から「2歳誕生日前々日」までの範囲内における延長

についてそれぞれ延長手続きが必要になります。

(延長申請のタイミング)

延長の申請は・・・

原則「延長申請する期間」の直前、もしくは1つ前の「支給単位期間」について給付金を申請するとき

に行います。

具体的には、「育児休業給付金支給申請書」の「支給対象となる期間の延長事由-期間」の欄に必要な記載を行い、以下の「延長事由に応じたエビデンス」を添付し申請します。

<添付書類>

  • 保育園等に入園できなかった場合 :市町村により発行された証明書(保育所入所保留通知書)
  • 養育を予定していた配偶者の死亡 :住民票の写しと母子健康手帳
  • 養育を予定していた配偶者の傷病 :医師の診断書
  • 養育を予定していた配偶者との別居:住民票の写しと母子健康手帳
  • 養育を予定していた配偶者の出産 :産前産後に係る母子健康手帳

なお、保育園等に入園できなかった場合の事情確認については厳格化される方向にあり、ハローワークから本人へ直接事実確認が行われることやエビデンスとして追加書面の提出を求められる場合があります。

現在、新たな確認書式の制定も含め、より一層の手続き厳格化が検討されています。


【受給者本人が死亡した場合】

休業していた従業員の方が亡くなってしまった場合は、死亡日の「直前の支給単位期間」まで支給申請を行うことができます。

なお、申請することができるのは、「生計を同じくしていた」遺族の方に限ります。

この場合の請求期限は「死亡日の翌日」から起算して「6か月以内」となります。


◆育児休業給付金申請時の「手続き書類」および「書き方」等については、「東京労働局ハローワーク品川」のページへリンクを貼らせていただきます。

育児休業給付申請の概要・手続きの流れ | 東京ハローワーク (mhlw.go.jp)

まとめ

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今回は、第5回として「産前産後休業」を終了し「育児休業」を開始した後の「手続リストとスケジュール」についてポイントを解説してきました。

この記事が、初めて産休・育休の申出を受けた場合など、どうしたらよいか分からず困っている会社経営者・労務担当者の方々にとっての一助となれば幸いです。


他の回をご覧になりたい方はこちらをご参照下さい。↓

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