【初心者必見!】育休とは?取得条件など制度内容について分かりやすく解説

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この記事では、育休(育児休業)制度について手続き経験が少ないご担当者様向けに、できるだけわかりやすく制度内容を理解できるよう解説しています。

【この記事はこんな方におすすめです

✅初めて育休手続きをする担当者の方

✅これから育休の利用を考えている社員の方

✅育休制度の内容をおさらいしたい方

✅育休制度の最新情報を知りたい方

育休とは?

休(育児休業)制度は、仕事と育児の両立を支援することを目的として、育児介護休業法により定められた制度です。

出産予定日当日(産婦の場合は産後休業終了日の翌日)~子の1歳誕生日前日までの範囲内で労働者本人が申出した期間について取得することができます。

なお、休業期間は2回に分けて申出することができます

事業主は、労働者から本人又はその配偶者等の妊娠・出産について申出を受けた場合は、その労働者に対して「育休取得の意向確認」および「育休制度の内容・休業期間中の給付金・社会保険料の取扱い等についての個別周知」を行わなければなりません。

上記以外にも、男性労働者に限定した制度(特別養子縁組里親の場合は女性も可)として、通常の育休制度とは別に、配偶者等の出産後8週間以内に限り、最長4週間、2回に分けて取得することができる「出生時育児休業(産後パパ育休)」の制度も施行されています。

これらの制度は、企業規模の大小を問わず適用されますので、たとえ小規模企業の経営者や担当者であろうとも知らないでは済まされません。

しかしながら、育休制度の内容は多岐に渡るため、ルールをインプットするのはとても大変です。

そこで、日々仕事に追われ忙しくしている方々でも活用できるよう、できるだけ読みやすく記事を作成いたしました。

この機会に、是非お役立ていただければと思います。

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育休制度は育児介護休業法に定められている

育休(育児休業)とは、原則1歳未満の子を養育する労働者が取得できる制度で、育児介護休業法(正式名:育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)によって定められています。

なお、「保育所等に入所できず待機児童になった」「子を養育予定であった配偶者等が急遽子を養育できなくなった」等、特段の事情がある場合には、1歳誕生日から1歳6か月となる日(*)まで延長(当該事情が解消しない場合は2歳誕生日の前日まで再延長)することが認められています。

(*)1歳6か月誕生日に応当する日の前日を指します

この休業制度は、仕事と育児の両立支援を目的に定められた制度ですので、出産した女性労働者本人だけでなく、配偶者である夫・養親(特別養子縁組里親)も取得することができます。

育児休業と育児休暇との違い

育児休業は、育児介護休業法により定められた制度です。

事業主が独自に定め、就業規則等に基づき運用を行う、育児のための休暇制度(いわゆる「育児休暇」)とは明確に区分されますので混同しないようにしましょう。

なお、「子が3歳になるまで(*)」もしくは「子の小学校就学前まで」等の期間について、企業が独自に取得できるものとして定める「育児休業に準ずる制度」も、育児介護休業法に基づく「育児休業」とは別物として扱われますので覚えておきましょう。

つまり・・・

育児休業:育児介護休業法に定められた公的制度

育児休暇:育児介護休業法の裏付けなし

育児休業に準ずる制度:育児介護休業法の裏付けなし

ということになります。

【ご注意!】

健康保険法・厚生年金保険法に基づく「育児休業期間中の社会保険料免除」ルールは、「子が3歳になるまで」の育児休業に準ずる制度」に対しても適用されます。

「子が3歳になるまで」ではありますが、社会保険料の免除については、育児介護休業法に定められた育休の範囲を超えて適用されますので注意しておきましょう。

なお、育休期間中の社会保険料免除制度について知りたい方は、以下の記事もあわせてご参照下さい。

産休と育休は全く別の制度

次に、産休(産前産後休業)制度と育休(育児休業)制度は、全く別の制度であることについても確認しておきたいと思います。

初めて産休・育休手続きに着手する方は、産休も育休も同じようなものとして捉えている方が多いのではないかと思います。

まずは、産休制度と育休制度は異なる法律に基づく別制度であり、その目的とするところも異なっているということを理解しておきましょう。

産休(産前産後休業)制度は・・・

妊産婦の母体保護を目的としており、産婦である女性労働者のみが、出産の前後に取得できる制度

であり、労働基準法に定められています。

休業期間は・・・

産前休業期間:出産予定日の6週間〔42日〕前(多胎妊娠の場合は14週間〔98日〕前)から出産日当日

産後休業期間:出産日の翌日から8週間〔56日〕

となっています。

なお、産前休業期間は労働者本人が休業日を指定して申出することができますが、産後休業期間については、母体保護を理由に原則就労禁止(*)となっています。

(*)本人の申出がある場合に限り、産後6週間が経過しており、かつ医師が許めた業務であれば就労可とされています

一方・・・

育休制度は・・・

育児と仕事の両立支援を目的としており、男女を問わず、子が出生した後に、生まれた子の養育をするために取得できる制度

であり、育児介護休業法に定められています。

育休期間

育休開始日はいつから?

育休は、出産した女性労働者が取得する場合と夫や特別養子縁組里親が取得する場合とでは、開始できる日に違いがあります。

具体的には・・・

出産した女性労働者本人が取得する場合は、産後休業終了日の翌日以降

夫や特別養子縁組里親が取得する場合は、出産(予定日)の当日以降

に開始することができます。

なお、夫や特別養子縁組里親が取得を開始する場合は、実際の出産日が遅れても当初出産予定日から取得することができます。

育休はいつまで取得できる?

育休の取得期限については・・・

出産した女性労働者も夫や特別養子縁組里親も、原則、子の1歳誕生日前日まで

となっています。

【以下の場合は育休期間を延長できます

保育園等に入園できず待機児童になる場合や、子を養育予定であった配偶者等が急遽子を養育できなくなる等、特段の事情がある場合は、子の出生日翌日から数えて1歳6か月応当日の前日まで延長することができます。

それでも入園待機等が解消しない場合には、子の2歳誕生日前日までの間で再延長することが認められます。

パパママ育休プラス制度

育休は特段の事情がある場合を除き、原則、子の1歳誕生日前日までが取得期限となりますが、「パパママ育休プラス制度」を利用すれば、子が1歳2か月に到達する日(*)まで休業することができます。

(*)子の1歳2か月誕生日応当日の前日を指します

この制度は、育休からのスムーズな職場復帰を支援するために作られた制度であり、所定要件のもと夫婦間で育休をバトンタッチした場合に利用することができます。

なお、この制度の詳細については以下の記事をご参照下さい。

育休は2回に分割して取得できる

育休は、2回に分割して取得することができます。

なお、ここでいう「育休」とは・・・

子の1歳誕生日前日までの間で取得することができる(通常の)育休

のことを指します。

上記と異なり、保育所へ入所できない等、特段の理由により「1歳から1歳6か月」あるいは「1歳6か月から2歳」到達日まで延長して取得する場合の育休については、分割して取得することが認められていませんので注意が必要です。

上記以外にも、特例的に3回目の育休を取得できる場合や、出生時育児休業(産後パパ育休)を分割して取得する場合の申出ルール等があります。

こちらについては、以下の記事で解説しております。

育休中の給与支払いはどうする?

育休中には育児休業給付金が支給される

育休期間中の給与は無給とする企業がほとんどです。

その主な理由は・・・

  • 育休取得日に対しては、雇用保険から育児休業給付金が支給されること
  • 育休期間中に賃金を支払うと育児休業給付金が減額もしくは支給されない場合があること
  • そもそも事業主には、育休期間中の賃金支払いが義務付けられていないこと

が挙げられます。

また、上記に加えて、育休期間中に一定以上の就業をした場合も、支払った賃金の額に関わらず育児休業給付金が不支給となる場合がありますので注意が必要です。

育休制度と育休給付金制度も一体ではないので注意する

育休期間に対しては、所定の要件を満たす場合「育児休業給付金」が支給されますが、この給付金制度は雇用保険法に基づく制度であり、育児介護休業法に基づき運用される育休制度と一体ではありません。

そのため・・・

育休の利用対象となっている労働者であっても「育児休業給付金」の受給対象者ではない場合がある

ことに注意しておかなければなりません。

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育休中は社会保険料が免除される

育休期間中は申請を行うことで・・・

労働者本人負担分・事業主負担分ともに社会保険料が免除されます。

なお、ここでいう社会保険料とは・・・

  • 健康保険料
  • 介護保険料(40歳から65歳まで)
  • 厚生年金保険料

の3つを指します。

なお、育休期間中の社会保険料免除制度について知りたい方は、以下の記事をご参照下さい。

育休の取得対象者

育休は、出産した女性本人だけでなく、夫・特別養子縁組里親も取得できます。

夫婦2人とも、それぞれが育休を取得し、2人で子育てに専念することも可能です。

ただし、次節で解説しますとおり、

育休は全ての労働者に取得が認められているわけではありません。

この点は、全ての女性労働者に取得が認められている産休とは大きく異なる部分です。

育休の対象外となる者

先ほども解説しましたとおり、育休は全ての労働者が取得できるわけではありません。

では、どのような方が対象外となるのでしょうか?

まず、育休取得の対象外となる方は、以下のように大別されます。

会社代表者・役員・自営業者など労働者でない

ただし、雇用保険に加入している使用人兼務役員など、労働者性が認められる役員の方は取得対象となります。

日雇い労働者の方

有期雇用で、子が1歳6か月に到達する日(*)までに契約終了することが明らかな労働者の方

(*)1歳6か月の誕生日に相当する日の前日を指します

有期雇用労働者が2歳まで育休延長を申請する場合は、2歳誕生日の前日までに契約終了することが明らかな場合、対象外となります。

労使協定により育休対象外とされている労働者の方

労使協定で育休対象者から除外できる労働者

労使協定で育休対象者から除外できる労働者は以下のとおりとなっています。

  • 勤続1年未満の労働者
  • 1週間の所定労働日数が2日以下の労働者
  • 申出の日から1年以内に退職することが明らかな労働者
  • 子が1歳6か月又は2歳になるまで育休延長を申出する際、延長時点で6か月以内に退職することが明らかな労働者

なお、労使協定がない場合は、上記に該当している労働者から育休取得の申出があった場合も、対象外とすることはできません。

育児休業等に関する労使協定については、育児休業等に関する労使協定 ひな型 をご参照下さい。

個人事業主の元で働く労働者の育休について

さて、ここで注意しておかなければならないのは、個人事業主の元で働く従業員の方についてです。

個人事業主の元で働く従業員の方も、れっきとした労働者ですので、育児介護休業法に基づく育休制度の対象となります。

仮に、健康保険や厚生年金保険へ加入していない個人事業主の元で働いており、自分で国民健康保険や国民年金に加入していたとしても、育児介護休業法は適用されます。

ただし・・・

自分で国民健康保険や国民年金に加入している場合は、育休期間中の社会保険料は免除されません(*)

なお、先行き(令和8年10月1日以降)は、育休期間中の国民年金保険料にも免除制度が適用される予定となっていますが、今のところ、育休期間中の国民健康保険料に免除制度が適用される予定はありません。

(*)
出産(予定)月の前月から4か月間(産休期間)についてのみ、国民年金保険料および国民健康保険料は免除されます

(*)
同種同業の組合員で組織された国民健康保険組合に加入している方の一部には、組合独自の定めで、育休期間中の保険料も免除される場合があります。

また・・・

雇用保険に加入していない場合は、育休制度の適用対象であっても、育児休業給付金の支給を受けることはできません。

個人事業主にも、従業員を雇用保険へ加入させる義務がありますので、通常この問題は発生しませんが・・・

農林水産業を行う常時従業員数5名未満の個人事業主が、雇用している労働者を雇用保険へ加入させるか否かは任意となっていますので注意が必要です。

また、以下の場合については、法人・個人事業主を問わず、雇用保険の加入対象となりませんのでご注意下さい。

  • 31日以上雇用見込みがない場合
  • 週所定労働時間が20時間未満の場合
  • 学生の場合
  • 事業主と実質一体の立場にある家族従業員の場合

育休の申出ルール

育児介護休業法では

  • 通常の育休(子が1歳になるまでの育休)は1カ月前までに申出が必要

とされています。

ただし・・・

  • 「子が保育園等に入園できず1歳6か月(解消しない場合は2歳)まで延長する場合」2週間前まで
  • 「配偶者の死亡等により、急遽子の養育が必要となった場合」1週間前まで

に申出期限が緩和されています。

申出期限に遅れた場合

では、定められた申出期限に遅れてしまった場合はどうなるでしょうか?

期限までに申出がなかった場合、事業主は・・・

実際の申出日の翌日から「申出が遅れた日数の範囲内」で、後にずらして開始日を指定することができます。        

この点は、申出者の業務代替について準備しなければならない事業主側に配慮されていると考えれば分かりやすいかと思います。

育休の申出撤回

育休の申出を撤回した場合はどうなるでしょうか?

育休は休業開始予定日の前日までに申出すれば撤回することができます。

ただし・・・

特別の事情がない限り、撤回した分の申出に対しては再度の申出ができなくなります

具体的には、申出撤回1回について、1回の育休を取得済であるものとみなされます。

【特別の事情とは】

ここでいう特別の事情とは、配偶者の死亡や離婚等により、子を1人で養育しなければならなくなった場合等を指します。

このような場合に限っては、一度申出を撤回した育休であっても再度取得することが認められます。

【分割取得予定の育休申出を撤回した場合】

育休申出を撤回した場合は、「撤回の対象となった」1回分の休業のみ取得したものとみなす決まりになっています。

よって、2回に分割して取得予定であった育休の申出撤回は

1回分の取得予定毎に適用されることとなります。

つまり、前半・後半2回取得予定であった育休について、前半の申出のみ撤回を行ったとした場合、再申出できなくなるのは1回目のみであり、2回目については予定通り取得することができます。

育休開始日の繰上げ・終了日の繰下げ申出について

いったん申出した育休期間について変更の申出をしたい場合については

✅育休開始日の繰上げ(前倒し)

および

✅育休終了日の繰下げ(延長)

のみが、各1回ずつに限り認められています。

育休期間の「両端を前側と後側にのみ1回ずつ引き延ばすことができる」と理解しておくと覚えやすいのではないでしょうか?

ただし、開始日の繰上げ(前倒し)については、予定よりも出産日が早まった場合等、特段の事情がなければ認められませんので注意が必要です。

一方、終了日の繰下げ(延長)については、申出に対し、特に制限はありません。

育休期間中の就業について

育休中は原則就業させてはならない

今まで育児・介護休業法においては、育休期間中に就業すること自体が想定されてきませんでした。

育休は「子の養育を行うために休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度」と位置付けられていたためです。

そのため、子が1歳になるまでの(通常の)育休制度において、休業期間中に就業する場合のルールについては、現時点においても定められていないのが実情です。

一方、雇用保険法には、育休期間中の就業が一定の日数及び時間数の範囲内であれば、育児休業給付金の支給制限を適用しない旨の定めがあります。

この定めがあるため「一定の日数及び時間数の範囲内であれば育休期間中も就業は可能である」と多くの方々に誤解されているようです。

しかしながら、ここで認められる就業は、あくまでも臨時的・一時的なものに限られているということをしっかりと認識しておかなければなりません。

雇用保険法に基づく「育児休業給付金」制度では、1支給単位期間内において、10日間もしくは80時間までは就業可としていますが、これは、あくまでも「臨時的」「一時的」な就業の場合と規定されています。

詳細については以下をご参照下さい。

育児休業中の就労について(厚生労働省 令和2年12月作成)

出生時育休期間中は、あらかじめ計画して就業できる

令和4年10月より施行された、出生時育児休業(産後パパ育休)制度においては、休業期間中の就業を「一定条件」のもと認めており、あらかじめ休業期間内に就業する計画を立てることが可能となっています。

出生時育休期間中の就業ルールについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照下さい。

まとめ

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以上で、育休制度に関する一通りの解説は終了となります。

なお、この記事では、初めての方でも理解しやすいよう、ポイントのみを中心に解説してきました。

より詳しい情報については、各章に設定させていただいたリンク記事をご確認いただきたく思います。

この記事が、小規模企業のご担当者様はじめ、お手続き経験の少ない方々のお役に立ちましたら幸いでございます。

最後までお読みいただき誠にありがとうございました。

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